手が小さいとピアノは不利? | ピアニスト 清水信守 Nobumori Shimizu

ピアニスト 清水信守 Nobumori Shimizu

埼玉県川口市在住のピアニスト、清水信守のブログです。
埼玉県川口市の清水ピアノスクール(https://shimizu-piano-school.com/)主宰
1児の父です。

手が小さいとピアノは不利、または大きいと有利というのは昔からよく言われていることですが、果たして本当でしょうか?

 

小さいと不利に関してですが、様々なピアニストの演奏に触れたり子ども達を指導した経験から、手の小ささよりも「手が小さいことに付随して起こる諸問題」というのが当てはまるケースが個人的には多いと考えています。

 

まず小柄な女性のピアノ演奏にありがちですが、傍から見ても腕を突っ張らせて固くして弾いているケースが多々見受けられます。

 

これは第一にオクターブ以上指を拡げた際に、無意識のうちに腕の一部、あるいは全体に力が入ってしまうことが要因と思われます。

 

人間の手というのは多くの神経、骨、筋肉が絡み合う非常に複雑な構造をしています。

 

一番有名なものとしては中指と薬指は手の内部で腱が結合しているために、完全に独立して動かすことは不可能というのが挙げられますが、人によっては小指以外を動かしている最中に、無意識に小指が斜め上にピンと張るような動きをすることもあります。

 

これはおそらく指の独立が不十分で筋力が未発達な幼少期に、その中でも特に弱い小指だけを動かす神経回路が未発達で、他の指につられて無意識に動かすということを繰り返すうちについた、ある種の癖のようなものと考えられます。

 

さて話は戻りますが和音を弾く際に音域が広がるにつれて、人によって程度に差はあると思いますが、手を拡げる必要があります。

 

この手を拡げるという行動ですが、横に動かすということにも言い換えられると思います。

 

この手を拡げ指を横に動かすという行動ですが、私達の実生活においてはあまり使う機会のない動きでもあります。

 

実生活を振り返ってみても、何か手を拡げ指を横に動かすという行動が必要な場面は、大きなものを掴む以外には中々すぐには思いつかないと思います。

 

実はこの手を拡げ指を横に動かすという行動は、ピアノを弾く際に腕が硬直し脱力の妨げになる一番の要因になります。

 

試しに手をじゃんけんのグーのように握りしめた状態から、瞬間的に手を大きく拡げパーの形にしてみてください。

 

多くの人が瞬間的にに大きく手を拡げた際に、腕のどこかに力が入る感覚があるのではないでしょうか?

 

これこそがオクターブを続けて弾く際に、脱力ができず疲れてしまうことに繋がります。

 

私達はだいたい幼少期からピアノを始めると思いますが、小学生1,2年生ででオクターブが届くというのは本当にごく少数で、届いたとしても小学5,6年生くらいでギリギリ届くというのが多いのではないでしょうか?

 

またオクターブ未満の和音でも手を拡げる場合は多々ありますが、これも人によって程度や差があり、ある子は手が大きくそれほど苦労しないのに、手の小さい子は思いっきり拡げないと和音を掴めないこともあります。

 

そして手の小さい子が幼少期から一生懸命手を拡げて、無意識のうちに腕を固くしてピアノを弾き続けて結果が、先ほどの腕を突っ張らして弾くというのに繋がっていくのではないでしょうか?

 

対処法としては色々と挙げられますが、一番大切なのは幼少期の弾き方だと思います。

 

いきなり和音が頻発するような曲に取り組ませるようなことは避けて、段階を追って徐々に少しづつ和音に触れていくべきだと思います。

 

そして指を拡げる際も腕に力が入らないよう細心の注意を払って、神経をコーディネートするような指導も大切です。

 

何より幼少期からな注意深い指導が大切なことは言うまでも無いですが、たとえ大人の方で指を拡げた際に腕が突っ張ってしまうようなことになっていても、諦める必要は決してないと思います。

 

親指と小指である程度の長さの棒のようなものを挟むことで、徐々に腕や手首の力を抜いていく感覚を身に付けることは可能です。

 

ストレッチも効果的ではあると思いますが、ピアノの場合は指を横に動かすだけでなく更に下方向に弾かなければならないので、アリシア・デ・ラローチャのように鍵盤上での指の拡張練習がなお良いと思います。(下記参照)

 

 

 

 

 

手が小さくとも不屈の努力を重ね、アリシア・デ・ラローチャはラフマニノフのピアノ協奏曲の素晴らしい演奏を遺しましたし、個人的にも手の小さい素晴らしいピアニストを何名も知っています。

 

これから折に触れて、私が出会ってきた素晴らしいピアニストの方々や、私自身の指導の経験を引き合いに、手が小さくとも上達する練習法や上達の秘訣のようなものを紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

私が主宰しております清水ピアノスクール(埼玉県川口市)ですが、エクセレントコース(中学生~大学生程度)に限って生徒募集を再開しました。詳しくはこちらをご覧下さい。

 

 

 

 

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