長編小説 『国宝』 | ピア 人工関節と難病と猫と

ピア 人工関節と難病と猫と

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人工関節の脚、肝臓の難病、慢性疼痛と闘っています。
時々は保護猫出身の愛猫のことも。
人生終盤、余生を悔いなく送りたい。
ブログを綴って、脳の衰えを緩やかに。



ブロガーさんのどなたかが紹介していて、
他の方も良かった、というので読んでみた
それぞれ数百ページで上下二巻




やっと、読み終わった


上巻、下巻とも延長してもらい読了に1か月半かかった
(図書館で借りてます)



変わった文体の小説だった
古風な、丁寧な、上品な、第三者が語っているような語り口
それが魅力的でひきつけられる

語り部は誰なんだろう?




最初の舞台は長崎

極道の息子がたぐいまれな美少年(喜久雄)
父親を亡くした後、歌舞伎役者に弟子入りする

ライバルとなるその歌舞伎役者の御曹司(俊介)との物語
 

舞台は大阪へ、東京へと続く
 

歌舞伎の女形ふたりの
友情、恨み、嫉妬、遠慮、歌舞伎への執念、狂気
どういっていいかわからないぐらい内容が濃すぎる



私は本当に素人で
歌舞伎ははとバスツアーで観に行ったぐらいだけれど

この小説の描写の美しいこと
 

舞台装置や着物、目線やしぐさなど、
実際に豪華絢爛な歌舞伎を鑑賞しているようだ

まるで歌舞伎の教科書

ちょうどテレビで歌舞伎の「三姫」の解説を何気なく見ていたので
臨場感たっぷりだった



それに加えて、登場人物の心理描写の巧みさも
ただものでない感じがした

知らなかったけれど、吉田修一、芥川賞の受賞者だった!




華やかな芸に生きた人々の小説だが
読み通したら、私は死の匂いがした

主人公の父(やくざ)の死
歌舞伎の師匠の死
そして固いきずなで結ばれた、ライバルの死
そしてラストの場面(多分)主人公自身の死

それだけ重厚な小説だった

歌舞伎を知らなくても、面白い小説
歌舞伎を知っていたら、もっと面白いと思う
おススメです