海外旅行の滞在先で、路面電車、あるいはバスに乗るのが好きだ。
当てもなく、行き先もわからず、車窓の風景をのんびりと眺める。
取りあえず、終点まで。
ウィーンの様に、少しは土地勘のある場所だと、降りてからしばらくお散歩をして、又行き当たりばったり、バスか路面電車に乗って戻ってくるのだが、知らない場所の場合は、単純に降りた終点から、又同じ路線を戻ってくる。
一度見慣れた場所だと、何となく場馴れした感が出てきて、ちょっと途中下車してスーパーに足を踏み入れてみたり、教会を覗いてみたり、そのままホテルまで歩いて帰ることも多い。
そんな時は、旅人であるというよりは、住人が気まぐれに長いお散歩に出かけた様な気分になってきて、中々味わい深いものだ。
ラトヴィアの首都、リーガへ行った時。
何故か、主人たちの一行との待ち合わせに合流できなくて、結局諦めて、一人で路面電車に乗った。
終点までは、意外に短かったけれど、降りてみると目の前にスーパーがあって、取りあえず中に入ってみた。
突如一人で食べる事になったその日の夕食の為に、デリカッテセンで買った、ローストチキンのハーフサイズや簡単なサラダが、電車の乗車券とほぼ同額であった。
チェコのブルノで。
当てもなく乗った路面電車で、車窓を見ると大きな公園のそばを走っていたのに気づき、思わず下車した。
地図で確かめると、かなり大きな公園で、沢山の若いお母さんたちが、乳母車を押して、散歩している。
砂場では、幼稚園児らしき数人の子供たちが遊んでいたり、双子らしい赤ん坊を乳母車に乗せたおばあさんが、ベンチに座っていたりした。
余りに可愛いので覗き込んで、「何歳ですか・・?」と英語で話しかけてみたら、そのおばあさんは何故か、ドイツ語で応えてきた。
ブルノの人達にとって、親しみのある外国語は、どうやらドイツ語らしい。
ワルシャワに初めて行った時は、友人のスワヴェックが電車の切符と地図を手渡してくれたので、一日中一人で歩き回って、旧市街やワルシャワ大学、ショパン博物館などを見ることができた。
言葉の通じない国だと、まず電車に乗れたとしても、支払い方法を理解するのが一苦労である。
ワルシャワで電車に乗ったら、その辺にいる数人の人達が、何やら私に向って、いかにも急を要する、といった感じで喋りかけてきた。
その中の大学生らしい人が、「乗ったらすぐ、乗車券をこの機械に差し込んで、時間を印字しなくてはいけないのですよ」と教えてくれた。
ポルトガルのリスボンでは、乗っていた電車で車内放送があって、全員が降りてしまった。茫然としていると、若い男性が、「ここで、この電車は止まってしまうらしいです。全員、次に来る電車に乗り換えるそうです」と、教えてくれた。
ハワイでは、私が行った頃、バスがどの路線も一律1ドルだった記憶がある。
一番長い、殆ど島を一周する路線も一ドルで、それは楽しかった。
まず海岸線を走るから景観も素晴らしく、土地の人が乗ったり降りたり、その様子を眺めているだけでも退屈しなかった。
所要時間が、三時間ぐらいだったかな・・。
途中で、運転手さんの休憩時間というのもあって、私達も外に出てしばらく休んでいた。
それは、のんびりした路線だった。