ちょっと肌寒くなるこの時期、台風やらなんらやで、毎年決まって体調がよろしくなく、10月・・あーやっぱりな。という感じです。

ジストニアに関しても、要因は気圧の変化による影響が大きく、せっかくコツコツと大事にしてきたものがガラガラと崩れ落ちてしまうのも、この季節。毎年かなりこたえておりました。

適応出来ていない自分の身体にガッカリしたり、それだけ敏感な身体を持っているんだ と気を取直してみたりするけど、

やっぱり身体は自然のもの。

逆に言えば、意識が優位に立っている事に対して、身体が素通りされている悲しみを訴えているのかもしれません。
忙しさにかまけていたり、辛い・・と落ち込む一方では身体の声は聞こえません。

こんな時は、これを良しとし、デンと構えて、何もしない。何も考えない。要求しない。ただ受け入れる。
あぁ不調だな。と思った時点で、身体の雰囲気を変えてみる。

気分を変える という言い方もあるけど、辛いのに良い気分になれとか楽になれとか言われても、うーん、私的には無理な話です。そもそもそんな渦中に、気分を変える方法なんて思いもつきません。
だって体調がよろしくなくて気分が滅入ってるんですもの。

頭痛が酷くて、楽になる方法をググって放浪して、スマホ画面の光でますます頭が痛くなる、みたいな呆れる話です。ん?なんか違う例えですが 笑。


だから、
大きくため息でもついて、デーンとソファに王様座りをする。
あー、首に力が入ってたなぁ。なんてことに気づいたりする。

やりたくないことは全てやらない。あえて何もしない。
あー、時間泥棒されまくってたなぁ。と、神経が逆撫でされていたことに気づいたりする。

頭を空っぽにして、何も考えない。
あれ?頭の中を空にするって、どうやるんだっけ?って、訳の分からないちょっとした混乱が起きるけど、次第に自然に目が閉じられる。
あー、顎に力が入ってた。呼吸も浅かった。と気づいたりする。

自分の演奏に、テンポも強弱さえも要求しない。
手のみならず、身体中こんなにも力が入っていたんだ!と気づいたりする。

ピアノに触れていること そのものに、それだけで幸せであれば、身体は弛んできます。
弛むと、身体の地図が見えてきます。
道筋・繋がりを下(足)から順に辿っていくと、
ここはもっと広げてあげないと通れないかも。とか、どこかに迂回路はないかな。とか、こっちから行けば近いかも。とかいう感じで見つめていると、自然に目的地(音楽)に向かえるようになるのです。
迷ってしまったら、ひと休みの睡眠補給もありです。

実は、こんなことを繰り返し繰り返ししているうちに、
なんか不調だな。と気付く前に、身体の地図をいつても広げられるような感覚になってくる。
道を塞いでいる違和感で予測し、少し手前の時点で、
こっちじゃなくてあっちだった。と少しの修正を、少しの繰り返しで、頭の天辺まで通り抜けられる。
要するに、近道がたくさんできるのですね。

しかし、近道を見つけても、それがはたして一番自分に最適で気持ちのいいものなのか、そうと確信しても、その道の景色が見慣れ安心したものになるまでには時間がかかります。

音楽と同じです。
自分の、もの(演奏)になるためには、たくさんの検証と実践が必要です。その音楽の景色が自分にとって安心できる、いつもの通学路のようになるために、相当な練習時間を要するわけです。
さらにもっと重要なことは、その安心した気持ちの中で、たくさんの冒険を手に入れる。
当たり前のように素通りせず、お宝発見!のようなワクワクを、心底楽しむこと・常に興味を持ち続けること。

「ミスを気にせず、表現を大切にする」ことの裏には、このような正しい道筋があるのです。

時間泥棒に支配され根負けしている場合ではありません。

ジストニアにとって、身体に精通するために惜しみなく耳を傾け、じっくりと身体の地図を広げ、
気分(頭の中)を変えるのではなく、身体の中の景色を変えて、自ら清々しく、温かく柔らかな感覚の時を過ごす習慣が必要です。
身体の通り道を知ることは、そのまま音楽の通り道を知ることだからです。











この記事を書いている正にその時に、先日のあの凄まじい台風だった。
ガツンと来たには来たが、心身の回復は思う以上に早かった気がする。


それにしても・・・
台風のお知らせは、備蓄や身の安全を考える行動の予測などを先ずは優先するにしても、
それとは別に裏腹に、
予定が転回するがために  "籠もって練習できる" という、内心密やかな、嬉しさ。
ピアノ弾きの感情は、正直これである。

"外界を遮断する" が、"芸術に没頭する" とイコールであるこの音楽体質、分かる人にしか分からないマニアックさがあるなと思う。

何も知らない子どもだった昔、恐怖心の裏にワクワクする気持ちが隠れていた、それに似てるかも。












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東京都福生市の拙宅(マンション 一室)でピアノ・レッスンをしております。

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