今日は、(いつもの如くですが)長文です。お時間ある方はお付き合い下さい。



レッスンにおいて私の場合、短い時間内でも、とにかく成功体験まで導くこと。
そのプロセスが生徒と共有する時間をものすごく有意義で濃いものにさせてくれます。

足りない練習をチョイスして家練に加えさせることや、気に入らない弾き方・音などをただ口にするだけなら誰でもできるし、それが教師にとって充実したレッスンをしたのかと自問すれば、自分の知識を伝えただけの悶々としたもの。
レッスン受ける側としても十中八九、落胆もしくは意気消沈へとしか向かわないのはもちろんですよね。先生との大きな溝を感じるということです。

まずは、生徒の年齢によって、そして性格・気質によって、10ある言葉から1つ選んですべてを丁寧に伝えていくということが大事と思っています。

上の、足りないものを加える、
例えば速く弾くパッセージの指が回らないところで、リズム練習やスタッカートで弾く練習を加えさせたり、なんていうこともあると思います。
しかし私は、私自身も気づかないうちに、そんなめんどくさい練習(笑・・別にそれが悪い訳ではないです)をさせることは後回しになってる。
あとで、あーリズム練習もやってみた方が良かったかしら?なんて思う程度のもので、効果の期待はしていないみたいです。
でもこういうことなら別→その練習に毎日、教師が側に付きっきりでタッチも音も徹底的に見てあげられる。
いやいや、これ、冗談でなく真面目な話・・・
「表現する」という目標に向かう練習過程での疑問点・問題点・仮説設定能力・選択能力・肉体が知覚する生理的反応の認知能力を持ち続けて、一人ひたすらリズム練習に食いついていくパワーがそれなりに必要とされるからです。

そうでなければどうなる??

やっていればそのうち弾けるようになるだろう、という惰性の練習にしかなっていかない。これは本当に危険です、自分の経験上。

目的がプロを目指すとかで、付点練習にしても、ものすごくストイックに緻密な仮説を立てて、想像豊かに練習できる人とかでなければ、これで成功体験を手に入れる(生徒の本当に安定した奏法と、そして教える側も本当に充足感を得るもの)子はほぼいない。
裏を返せばそれくらい問題視すべき練習だ、と私は考えてます。

じゃあ、足すんじゃなくて、引けばいいんじゃん。

ということで、この詳しい練習方法の例は、過去記事で書いてますので、今日ここで例をあげることはしませんが、
譜面上の引いた各々のものは、後々、徐々に、きちんと、基盤の上にまた元に足してあげることもとても重要でして、
基盤の確立と、その後の積み上げていく階層をもって成り立っていく練習です。



で、今回は引き算する のではなく、

無視する。←本日の あまのじゃく。



これで面白いことが起きましたので、1つの例ですが、書いておきたいと思います。
注※以下、全てのピアノ奏者の学習段階に当てはまるものではありませんし、曲によって違うのはもちろんのことであります。ご承知のほどを。



シューベルト 即興曲 Op.142-4
まず、練習の箇所(隠れ難所?)はお分かりでしょうか?





この3度の重音16分音符。

テンポよく、コロコロコロリンと鳴らしたい。
ところが、コロコロどころか髪の毛がぐしゃぐしゃ絡み合ったような弾き方になってしまう。
(音楽的に演奏しようとする前向きな子で、他の部分はどんどん味が出てきているから 余計にもったいないところ。)




で、とりあえず、この部分にどんな練習を当てはめてみたか聞いてみると、やっぱりね。
「付点とかリズム練習・スタッカート。」
(自分、ちゃんと練習したしー!な顔)

どれどれ?やってみて。

ふむふむ、OK。ちゃんと綺麗な付点リズムで、音も揃ってる。スタッカートも別段、乱れてない。

ちなみにこんな練習もあるよ。
重音の上の音をスタッカート、下の音をレガートにして、合わせて弾いていく。逆も。

やってみる?


うん、できるね。
じゃあ、楽譜通りに弾いてみて。
バラバラバラリン・・・

一音一音、コロコロと♪
バラバラバラリン・・・





・・・だからこれー、要するに、練習の達人になっちゃっただけなんですね。悲しいことに。

もうやめましょう。←やらせてしまったけど 笑。

こちらは笑顔で、練習頑張ったのね と認めつつ、笑顔の裏では天邪鬼がほくそ笑んでる。
認めつつ・・これ大事ですよね。でも私からすれば、この中身は前述の通り、まだまだヒヨっこ。なので、この子に関してはリズム練習は、綺麗サッパリおしまいにして、次の手段・・・
これはone stage引き上げて成功体験をさせてあげなければ!
完全に自分を天邪鬼にして信じて徹していれば、そのためのアイディアが湧いてきます。


まず、どの音が揃っていて、どの音がバラけるのかをよーく選別させる。(私がするのではなく、必ず本人が。)
この子の場合、黒鍵同士の、1指&3指。(この時点では運指はすでに吟味してありますが、ここは楽譜通りで。指づかいに関してはその後の過程で不具合が見つかれば私は即変更します。)

GesとB。

1番長い指と1番短い指を揃えて弾く、しかも速く、しかも黒鍵上で。

バラけるの当たり前じゃん。

お指さん、可愛そうに・・・。
(ちなみにこの子は手の大きな高校男子。)

たった1指が、揃わない。

ではたとえば、ここの部分を歌ってみると?
もちろん、声に出てくるのは、

レドシドシラシ

ですよね。

で、天邪鬼な私は、これを(もちろん一緒に弾くけれど)完全に無視 とします。
メロディラインのそれではなく、1指の音は下のラインなのだから、
「シラソラソファソ」に大きくスポットライトを当てるのです。


ここの重音は「シラソラソファソ」と唱えながら弾く!



コロコロコロリン♪






あらま・・・
見事に一発で生き生きと綺麗にそろいました。

いままで親指がふてくされていたとしか思えません 笑。

フツーは「バランスよく上のメロディの音を意識して綺麗に響かせて。」とかなんとかなんですけど、そんなことは当たり前に無意識のうちに聴覚器が記憶しておりますので、
無視する、と言うとかなり乱暴な言い方ですけれど、勝手に指は反応しているから大丈夫 ということです。


逆の視点は面白い!


この子はその後、何度弾いても乱れることがなくなったので、一度体験した成功が安定した奏法へと向かわせたのだと思います。まだまだ手始めの段階ですが。
しかし危うく弾き直しグセがつくところでして、ギリでした。
裏側を具体化することで、茨の道がひとつ拓けたことになります。

音楽やってる子って 一見、頭硬くてひねくれ者そうですが、実際はものすごく素直なんですよ。催眠術をかけられたらイチコロ 的な、素直さ。「分かりやすっ‼︎」ていう瞬間が、特に男の子によく見受けられて、私個人的には面白い瞬間です。(決しておちょくってる訳ではございません、いたって大真面目。)
そしてさらにその後の様子も・・・なんといいましょうか、そのマジックをまるで、もう、自分一人で編み出したかの如く、意気揚々としていること!
実はそれでいいのです!そうやってドンドン自分の世界を広げて、先生のことなんか置いてきぼりにするくらいで丁度いい。だから教師は、今ある問題を口先だけで解決するような教え方ではなく、その子の将来・可能性をしっかり見据えて今ある課題に目を向けるべきだと、つくづく感じます。


あ、それで、ついでにを全部。
重音下のラインを歌いながら。前後もすべて繋げ合わせてみると、普段は思い浮かばない線だから、変な感じがして逆に これまた面白い!弦楽のイメージがリアルに浮かんできたりもします。






あまのじゃく。

要するに、発想の転換。

これ、私は常に大事。



『ウラからのぞけばオモテが見える』
                              by 佐藤オオキさん著書










これが、裏を読んだことになるのか、どうか?
さんざん力説しといてナンですが、
書き終わってみると なんだか、このアイディア自体は別に大したことではない気がしてきた・・・ 笑。
でもサ、茨の道で、表面上 もがいていても何も解決しないわけで。


しかしながら彼は、実はこの前段階での、
イメージの設定・音作りへの探究がまだまだ薄いと感じる。その薄っぺらな部分をリズム練習にすり替えてそれに時間を費やすのはどうかと思う。どうも早く形にしたい欲求が、見え隠れしてならない。
安定した奏法を求めるのならば、その前に全く別の視点で、やるべきことは盛りだくさんである。

でないと、シューベルトなどは煽られながら弾いていってしまうような まさに残念な演奏になりやすい。この彼に限らず。

教える側も、まだまだ課題が多いですな。
とにかく、じっくりじっくり。。。



















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東京都福生市の拙宅(マンション 一室)でピアノ・レッスンとピアノ・レンタルを始めております。

ヤマハグランドピアノ C3A・ヤマハアップライトピアノ U1H
1台ずつ入っているお部屋です。

今のところ暫くは仙台の教室がメインであるため、月に一度の上京の際 となりますが、
ご都合が合って希望される方がいらっしゃれば、ご予約いただきレッスンを行なっています。

また、個人での練習や お友達同士での弾き合い会(2〜4名ほど)、レッスン場をお探しの先生、受験のためや 発表会・コンサート・コンクール等のための練習ピアノが必要な方など、
私の限られた日程と時間帯ではありますが、
レッスンの空き時間・音出し可能時間内であれば、こちらも予めご予約いただき、お部屋をお貸ししております。





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JR中央青梅線・八高線・五日市線・西武拝島線「拝島駅」北口より徒歩5分





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2018年 9月14日〜17日        
            10月12日〜14日
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