音楽家のフォーカルジストニアが「治っていく」時というのは、
がんばって
あきらめて
がんばって
あきらめて
あきらめて
がんばって
あきらめて
あきらめて
あきらめて
がんばって
あきらめて
あきらめて
あきらめて
あきらめて
・・・・・・・
頑張らなくなった時に初めて、
患部が楽器に " 触れて " いること・音楽的な中身に集中していること
などに、ふと気付く日が増えてくる。
少しずつ、本当に少しずつ。
そして、身体の内側や手の内側などのあらゆる変化が大きくなっていることに気づいていきます。
その鍵となる大切なことは、日常の生活すべてを思考から身体の中身へ、シフトチェンジしているか。
いわゆる頭脳的な役割である用意周到さや決断、やるべきこと、他への思いやり、情報の処理などは、はっきり言って二次的なものです。自分の心身を大事にできない人が意図的に他を思いやっても、それは本当の優しさではないし、知恵もアイディアも決断力も正確な処理能力も、健全な体の中から、自然に湧いてくるものです。生き生きとしたエネルギー溢れる、それはそれは大きな源泉のようなものです。
頑張らなくなった というのは、イコール
弾けないことが辛い・悲しいと思わなくなった ということで、イコール
症状を刺激しなくなった ということになります。
思考優先主義?から逸脱できた ということかな。
音楽をするということは、本来そういうこと。
一喜一憂しない。
身体に任せてゆだねてみる。
そもそも楽器を実際に鳴らしてくれるのは、この身体なんですから。
頑張ることで何かを成し遂げ、身体に鞭打って成果を掴み、それを実感しようとしてきたこと・・・それがいいとか悪いとかでなく、
音楽を表現するための大切なこの身体から、けっして失ってはいけない感覚の世界を、そのことによって塞がれることなく、愛おしく大事に育まれてきたか?という中身の話であるわけです。
創造性は本来、自然発生的であり、個々細部まで秩序立ったものの上に表れるもの。
対して、「ゆだねる・任せる」といった曖昧でつかみどころのない感覚を信じる。
といった狭間にいるのが私たち。
だけど曖昧でつかみどころがない、はっきりしないものこそ私たち「そのもの、あるがままの自分」である
というところの自己肯定が、すべてをまずは0(ゼロ、クリア)にしてくれます。
思考優先(←あくまでも、ですが)である、身体にとってマイナスからの生産はありえません。
万が一、結果がプラスだったとしても、身体(もしくは精神)のどこかに負荷がかかって見えない悲鳴を荒げていることでしょうし、まず何よりも、その結果は演奏芸術としての調和のとれた美に満ちたもの・心身満たされたものである(あった)のか?
結果として表れた音楽・音色は非常に、非情にも、その人の今のそのままを映し出します。
音楽は何一つ嘘はつかない。
たくさん持ち込んでしまった音楽なら、その通り、ごちゃごちゃな演奏として。
どんなに簡単な音階のようなパッセージでも、16分音符すべての1音1音をひらめきと新しい感覚
で演奏しているなら、創造性豊かな音色として。
演奏に対する頭脳的な役割は、身体が感じることへ干渉し過ぎず、客観的かつ冷静な知性と熱い心でただただ見守り 支えること・・・
言い換えれば、0地点から100を見渡せる環境づくり、ということでしょうか。
0地点への到達・・・言葉にするのは辛いですが・・・ジストニアにとって、ここに至るまでの道のりは困難極まりなく、想像を遥かに超え、暗闇に包まれた世界が果てしなく続く道です。
しかし、100の光は必ず存在していました。皮肉にも、それは頑張らなくなった時に初めて見えてくる。
小宇宙であるこの身体に頭をゆだねましょう。
身体の思う(感じる)ように任せましょう。
光を求める目は、我が身の中に。
身体もまた、嘘はつかない。
曖昧で掴みどころのない自分を肯定していると、楽しい毎日、楽しい人生になる。
何故なら、今のここ、今のこの時が一番だからだ。
自分、お酒嫌いだし。と言いながら、美味しそうに酒を飲む人みたいに 笑。
無責任だとかちゃらんぽらんだとかポリシーがないとかいうのとは全く違くて、
信があり中庸的精神を持っているからこそ、どう転がってもすべてが有り、っていうことなんだよね。
その時その時に感じたことが、今のすべてであり、いわゆる、今を生きる、ということ。
今を生きる人こそ、舞台上で最も強い。
どんな状態でも、すべてが自分自身・私そのものだと認めて、潔(いさぎよ)い生き方をしたい。
それを教えてくれたのも、ジストニア。
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