今日は個人的な好みの話を。もちろん音楽に関することですが、なんとなく思いつくままに書きたくなりました。
クラシックがたくさんかかっている店ですが、よく行く喫茶店で先日、席に着くや否や耳に入ってきたバイオリンの音。
「あ・・・」と思わず呟きそうになって、コーヒーカップの取っ手に触れたまま止まって聴き入ってしまいました。
大好きな古澤巌さんのバイオリンの音でした。
曲は思い出せなくて、確か持っているCDには入ってはいなくてよくわからなかったのですが、
それでも彼の持つ音色であったことと同時に、あの美しい歌いまわしが、これは間違いなく古澤巌さん！と耳が反応。
古澤巌さんのコンサートに初めて行ったのはかれこれもう20年以上も前。
それまでの私の中でのバイオリンのイメージを一新させてくれた彼の奏でる音との出会いは、とても感動的なものでした。
それまで、固定観念でバイオリンに関してはどうも攻撃的な音のイメージしか浮かばなかった。(小学生の悪ガキくんがイシシ！と黒板を爪で引っ掻く音を思い出してしまう。)
当時の自分は、もちろん若かったし、それでなくとも耳の経験の乏しさはなによりネックになっていて受信媒体も全然出来上がっていなかったし、よい演奏者の生の音と巡り合う機会もなかったのです。
なので、こんなにも「甘い音」を心地よく自然体で奏でるバイオリニストがいるんだ！？と、世界観を大きく変えてくれた人でした。
音色もさることながら、そのフレージング。
なんといいましょうか・・・
フレーズ間の絶妙な繋ぎ方。
まるで生き物を操っているかのようであり、ただ泳がせているかのようでもあり、完全に服従しているようでもある。
そして呼吸が、音楽そのもの。
なんか・・・
引き込まれる魅力とか、そういった技術的なものを遥かに越えて、全身全霊満たされる幸福感。
現実的な例えで言うと、美味しいものや大好きな食べ物にワクワクして、味わってみれば頬っぺたが落ちる幸せ感てあるじゃないですか。
それの、お口じゃなくて、耳バージョン。
でもそんな簡単に語れるものでもなくて・・・私の場合、聴覚は味覚よりも深い情感に関わってきますから。
そして今、久しぶりに改めて味わって聴いてみると、20年前のそれとはまったく違う別の感覚に包まれているのがわかる。
心が遥か遠くへ行ってしまうような・・・
アドベンチャー的映像を観ているようなスリリングさも満たしてくれて・・・
あぁ、憧れる・・・
そう、あこがれ。
恋をする感覚に、ものすごく似ています。
喫茶店での曲ではありませんが。
YouTubeより
恋愛上手でもベタな人間でも、誰でも こういう理屈じゃ表せない、身体の未開地を感じるものを持っていると思う。
その感覚を大事にしているかいないか 敏感でいるかどうか なのかな。
あまり頭でいじらないでおこう。
恋してる私のお耳のために。
ただ、心に湧いてくる喜怒哀楽はとても大事。ちゃんと向き合うんだよ、と若い人たちに言いたい。将来その経験から、ものすごく幸せなものが手に入るから。。。
老婆心。笑。
東京都福生市の拙宅(マンション 一室)でピアノ・レッスンとピアノ・レンタルを始めております。
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