前回のループから続きます。
さて次に、このループから発展して表れてくる動きとは?
もうご想像がつくでしょうか?
そう、
「螺旋」です。
同音連続の跳躍が、異音へ、例えば一音ずつ上下する音階または半音階などになってくると、円から螺旋の動きへと変化していきます。
音階弾きの親指をくぐらせる上行や下行のあの指替えも、小さな螺旋運動の繰り返しです。
身体の方へ話を戻しましょう。
身体から動きが生まれる時もループから螺旋へ。
縦軸・横軸・円 というものと同じように、螺旋も、本来ヒトの身体に、螺旋運動そのものが備わっている。
その証しとして私が思うことに、
赤ちゃんが産まれるときには、まさか誰かに教わるなんてことはありえないのに、自然分娩において、くるりくるりと自分で回りながら子宮から出てくる という事実です。
螺旋と言ってすぐイメージに浮かんでくるのは、螺旋階段。まぁ実際これは人工物なので、ここでは話の対象にはなりかねますが、それでも、それを作ったのは紛れもなく人間であり、ヒトの身体全体としての脳内から生まれたものです。
子どもの頃、私は、この階段を上がって行ったらいったい何があるんだろう?と、ワクワクしながら仰ぎ登っていった記憶があります。
待っていたのは・・・
大空・・・
天空でした。
くるくる くるくる・・・だんだん細くなりながら、くるくる・・・
植物のツル草。
初めて朝顔を見た時これも、このお花の茎はどうしてくるくるお日様に向かうんだろう?と不思議に思い、いつまでも眺めて触ってみたりしたものでした。
三木成夫さんの著書の一節に、「万物流点 リズムの本質」というものがあるのですが、
ゲーテの論文「植物の螺旋的傾向」は、まさに「天ノ命」と教えてくれるそうです。
植物の成長は垂直方向に螺旋を描いておこなわれる。アサガオの蔓がその典型だが、
真っ直ぐと見られる杉の古木も、その 分厚い樹肌に雄大な螺旋の溝を刻みつけて天に聳えるし、ヤマユリはその細い茎のまわりに、あたかも螺旋階段を登るように葉を付けていく。
この葉序の描く螺旋の軌跡は 種ごとにさまざまのかたちをとるが、これがひとたび花序に至ると、にわかに急になり、色とりどりの花弁の渦巻きとなって終わる。
それは、動物の毛流の描き出す ゆるやかな渦が、
ヒトの頭の天辺で にわかに急となり、つむじを巻いて終わるのと同じであろう。
以下、ネット画像拝借。
写真半分から下の茎の部分。やはり、螺旋階段を一段一段 辿るように葉がついています。
例えば、薔薇でも同じ。
そしてこのように行き着いた花びらの、最後の最後まで螺旋を描いて花びらが付いています。
そして、朝顔の蔓。
くるくるくるくる・・・
つぼみの、この美しい螺旋♡
人間での、かろうじておもかげを残し、現れて見えるのが、天に向かう「旋風(つむじ)」ということなんです。
人間の内部にいたっては、心臓も腸管も卵管も捻転を起こしながら肥大。
螺旋状の繊維層。
究極は 染色体の二重螺旋!
植物も動物も、私たち人間も、そしてご存知の通り 宇宙にいたるまで、渦巻きを持っているんですね。
この「ループ」のお話は、人間の骨格から始まりましたが、ヒトの体内で大切な存在はまだあり、
「水分」もその大きな一つです。
私たちのからだの中では常に水が、リズムを持ってさざ波を立てています。
日リズム・月リズム・年リズム
それは「節」というものを生み、人は音楽をも体内から生み出す、「拍子」。
三木成夫さんは前述のお話を、「波のリズム」という方向から書いていらっしゃいます。
1年以上前くらいの記事で、丸く波打つ美しい波紋の画像などUPしておりますので、ご覧頂けたら幸いです。(リンクが上手くいかなくなってしまい、開けないかもしれません。昨年6月〜7月にかけてUPした記事です。)
・・・ここで鍵盤上に戻って奏法の話などは、なんだか・・・野暮ったくなるので控えます(笑)。
レッスンでは実際に生徒と一緒に、お話だけでなく、やってみることはしていますが。
お読みくださった皆さまの演奏に、創造性豊かな表現へと少しでも繋がりますよう・・・。
願いを込めて♪
私の甥っ子がまだ小さい赤ちゃんの頃、2〜3歳くらいかな、まあるいものを見つけては、「くーる くーる くーる・・・」と言いながら人差し指でなぞったり回したりして、よく遊んでいた。
日本間の襖の丸い形の取っ手のところとか、テーブルの上の小皿とか。
私は、この子の中でいったい何が起こっているんだろか?と当時は、ものすごく不思議に見ていたことがありました。子どもって面白いな〜と。
今ではその子は大学2年生。
20年近く経って、今私が心と音楽で描き、想いを馳せていることと繋がるなんて、これまたとても不思議で、何か縁なるものとしか思えないのでありました。
そしてこのタイミングで、先日の小学生と朝顔のタネとの出会い!
面白いといえば・・・最後にこの画像を!
たぶん、ヤマユリ。いやテッポウユリかな?
素晴らしいのはもちろん見ての通りですが、
このつぼみ軍団、やっぱり螺旋を描いて次々と天に向かっているではありませんか!