とある日、私は用賀に降り立った。なんでかって?無論「花邑」に来るためよ!


先付けは鮑の酢の物。敢えて水貝・煮物の両方を取り合わせ、鮑の歯応えや柔らかさを色々楽しませようとしてる。初っ端から感心。


続いて八寸。枝豆一つを取ってもしっかりと香ばしい。他にもキッシュ、もずく酢、玉蜀黍の手毬揚げ、鯛の握りと煮凝り、トマト、穴子の野菜巻き、と素朴でシンプルな物が多いが繊細で確かな味付けに唸る。


それは次のお椀も同様。鱧・茄子・独活、3つの具を見事に纏め上げる出汁の素晴らしさ!これぞ和の極致。流石です。


その後の虎魚には驚愕!

まるで河豚の様に薄造りにしてある。それに河豚では提供不可能な肝・卵・胃袋、そして皮が添えられ、更に別皿でカマ部分の唐揚げが供された。

その味わいたるや、虎魚とはこれほどまでに美味しい魚だったのか!いや〜、正にトップクラスの白身だわ!

「人によっては河豚より美味しいって言われる魚なんですよね。」と当意即妙なご主人の言葉。全くです!


焼物は鮎の塩焼き。塩ふりも焼き加減もパーフェクト!蓼酢も隙無し。頭からガブリと食いつけば、鮎の旨味・苦味・香ばしさが一気に口中に広がる。

その傍らには太いアスパラを鱧で巻いた天ぷら。手が込んでるのが素人でもわかるし、味のバランスも上手に取れてる。


この日は鍋も供された。蛤である。一転極めてシンプルになりながら、蛤の旨味を存分に味わってもらいたいという気持ちが溢れている様な鍋。これをホッコリとか言うのね〜。


御飯物(およそ2か月毎替わり)は箱寿司。「関西に行った時に箱寿司の名人のを食べて、その美味しさに感動しました。」静かに他者を褒める物言いの中に自信が覗く。期待大!

さぁ出てきましたよ。箱で丁寧に押され形が整えられた美しいお姿。鯛・海老・穴子が綺麗に装われてる。さて実食!

フワ〜、なんて優しい味付けなんだ!甘味・酸味・塩加減が絶妙で、魚介の風味が存分に引き出されてる!期待を上回る出来栄えは、来た甲斐が有った〜!と思わせてくれました。


デザートはパフェ仕立てのクリーム餡蜜。最後は可愛らしくも甘美な和と洋の融合で締め括られた。


なんかこう、進取と安定の両面を兼ね備えていると言うべきか。ここまで感動させてくれる日本料理、やっぱイイやね〜!

用賀の地で静かに輝く和の良心「花邑」、素晴らしい!