大学病院に入院してからの私は子供達の事を思ってはよく泣いていた。

私の主治医は少し年下の女医さんだった。

主治医が患者さんの中で特に信頼していた方を私に紹介してくれた。

私より半年前に手術と放射線治療をし退院されたが腸閉塞になって再度入院されていたらしい。

病棟に知り合いも多く楽しくてとても優しい方だった。

それからの私は毎日何処かの部屋に集まってはたわいもない話で盛り上がった。

そのガン友は色んな事を教えてくれた。

先生、看護師さん入院患者さんの事など面白おかしく話してくれた。

「病院のご飯は美味しくないんよね〜」とお父さんに頼んで美味しい巻き寿司を買ってきてもらい主治医も一緒に病室で食べたりもした。

病院にいると、周りはガン患者ばかりなので「なんで私が」とは考えなくなっていた。

しかし現実にかえる時もあった…

ある日アナウンスが流れてくる。

「あの部屋の方が亡くなったんよ…」ガン友が教えてくれてた。

看護師さん達が病室のドアを閉めて歩く…

心が重くなった…私家に帰れるのかな?

ガン友は退院した後も病院に手作りのおかずをたくさん作って会いに来てくれた。

あの当時いつも一緒にいたは方たちは旅立って行き、私に元気をくれたガン友だけになった。

「無病息災じゃなくて一病息災、長生きの秘訣よー」と言って励ましてくれた。

それから24年…今でも時々連絡をとり食事をする。

歳をとり色んな病気をお互いに報告してしながら、「元気でいてくれるから私も元気で頑張れるよー」

「お互い頑張りましょうね!」

といつも最後はそう言って別れる。

24年前病室で、子供が成人するのを見たいなぁ…やっぱり結婚するまで…いや孫が生まれるまで!と先が不安で見えない未来を話していた私達。

ガン友は孫も産まれ毎日楽しそうにしてます。

お互いこれからも頑張ろうね!