余命もう何年も薬局でお薬を受け取って下さるおじいちゃん。いつも奥さまと娘さんが一緒についてきてくれる大事にされてるおじいちゃん。でも、私にはお薬の内容から末期の癌だと分かる。
ある時、奥さまと娘さんが来られて薬局長にお話されていた。今日、ドクターがおじいちゃんに突然あと3ヶ月の余命だと告知した。家族に断りもなしにと激怒されていた。おじいちゃんのショックがとても大きいと。女医だから現実的だし、若いから患者の気持ちを分かってないのよと。
半年後、おじいちゃんが亡くなったと報告に家族の方がいらっしゃった。
亡くなる半年、おじいちゃんは、唯一残ってるお友達に会いに苦手な飛行機に乗って東京に行き、大好きなお寿司を食べた。歌手の卵のお孫さんのイベントに行き歌を聴いた。大好きな芍薬祭りに行ってお花見をした。毎日、奥さんの手料理を食べて、体調のいい日は散歩もした。
その日やりたい事をしてイキイキして過ごし、そして穏やかに亡くなったと笑って話してくれた。
でも、家族の方は、またドクターへの不満を言われた。あのショックが可哀想だった。きっと法事の度に思い出してドクターの悪口になるのかな…。
私は、そんな風には思えなかった。ドクターの患者さんへの尊敬と最後の時間を自分らしく生きて欲しいという最後の治療だったのではないのだろうか。
大事にされているおじいちゃんだからこそ、きっと家族はショックを考えて余命を話す事はないだろう。そして病院で亡くなる間際にこうしたかったと後悔するだろう。
ドクターは、そこまで考えて告知をしたのではないだろうか。患者さんの命に向き合ってくれたのではないだろうか。自分自身が批判されても、患者さんが残りの時間を幸せに生きてくれればいいとかんがえてくれたのではないだろうか。を
そのドクターの処方箋を見る度に私はおじいちゃんを思い出して暖かい気持ちになる。
私も最期にそんなドクターに巡り会えればと思う。
(癌告知には色々なご意見があるのは承知しておりますが、自分だったら、残りの時間を知りたいと思います。そして、おじいちゃんのように、最後の数ヶ月を過ごしたい。