女性のための鍼灸&自然療法「楽志庵」横浜鶴ヶ峰

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鍼灸を始めとした東洋医学と、自然療法を組み合わせ女性のための治療を行います。心地よい顔や、足のリフレクソロジー、自然の恵みのアロマやハーブ、そして音による癒し。鍼灸あん摩マッサージ師としての専門的な技術もしっかりと活かし、あなただけのfucoMethodを提供

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こんにちは。
鍼灸指圧師・東洋医学の叡智を届けるセラピスト、fucoです。

 

今年も、滝浴びに行ってきました。

初めて滝に打たれたときのことは、

以前こちらのブログに書いています。

 

滝に打たれてスカッと!“今ここ”を生きる体験

 

昨年、

初めて滝に打たれたときは、

とにかく呼吸をすることで精一杯でした。

 

それでも、

終わったあとの何ともいえない爽快感が忘れられず、

「もう一度、滝に打たれたい」と思っていました。

 

そして今年。

 

その願いが叶い、

7月、

さらに8月と、

二度滝浴びに参加してきました。

 

結果からいうと、

三度目となった今回、

初めて

「滝に打たれている最中に気持ちいい」

感じることができました。

 

でも、

そこへ至るまでには、

相変わらず盛大な葛藤がありました。

 

行きたいはずなのに、滝を前にすると怖くなる

7月後半、

とても暑い日でした。

 

これなら滝に打たれるにはうってつけ。

 

念願叶って今年も来られたことが嬉しくて、

もちろん自分から参加しています。

 

ところが、

いざ滝を間近で見ると、

身体はまったく別の反応を始めました。

 

「また息ができなくなったらどうしよう」

いやいや、昨年だってちゃんと呼吸はしていました。

 

「また頭が痛くなったらどうしよう」

それも、

しばらくすれば治まった頭痛です。

 

さらに、

私、帰りにちゃんと運転できるのかしら」と、

まだ起きてもいないことまで心配し始めました。

 

心臓は跳ね上がり、

側頭部と胸郭がぎゅうっと締め付けられるような感じがして、

みぞおちはずしりと重くなる。

 

しまいには膝まで震えてきます。

 

頭では「大丈夫」と分かっているのに、

身体は怖がっている。

 

このとき改めて、

恐怖や不安というものは、

頭の中だけで起こるものではないのだと感じました。

 

いちばん怖いのは、滝に入るまでだった

何度も深呼吸をして、

持参したシンギングボウルを鳴らしながら気持ちを静めました。

 

そして、

ご神体である滝に「全部を委ねよう」と決めて、

水の中へ入りました。

 

不思議なことに、

本当に怖かったのは、

滝の下へ入るまででした。

 

滝に打たれてしまうと、

先ほどまであれほど騒がしかった頭の中が静かになり、

真言を唱えることができました。

 

その日は、

一度目はご挨拶。

二度目はしっかりと滝に打たれ、

三度目はお礼の気持ちを込めて入りました。

 

そして三度目には、

シンギングボウルを持って滝の下へ。

 

ところが、

ボウルの中にどんどん水が入ってきます。

 

重いし、

叩けない。

 

そして当然、

音も鳴らない(笑)。

 

滝に打たれながら

「これは失敗したなあ」と

思っている自分に気づき、

同時に少しうれしくなりました。

 

昨年は呼吸することだけで精一杯だったのに、

今年はこんなことを考える余裕がある。

 

それもまた、小さな進化でした。

 

怖さがなくなることと、進むことは違う

7月の滝浴びでは、

昨年より頭痛もかなり軽くなっていました。

 

特に最後に入ったときは、

滝を出たあとに感じた頭の痛みも、

ほんの一瞬で治まりました。

 

だからといって、

「もう滝は怖くない」となったわけではありません。

 

8月初旬、

三度目となる滝浴びに参加したときも、

滝つぼを前にすると、

やはり強い恐怖心が湧いてきました。

 

「私は、いったい何でここにいるんだろう」

 

自分で申し込んで、

自分でここまで来ているのに、

そんなことを本気で考えます。

 

怖さが消えてから進めるのではなく、

怖いままでも入っていく。

 

今回の滝浴びで、

私がいちばん感じたのは、

このことだったのかもしれません。

 

身体の反応を無視して強引に進むのではなく、

「怖いね」と分かったうえで呼吸をし、

自分の状態を確かめ、

それでも今なら行けると思ったところで一歩を出す。

 

私にとっては、

恐怖心を克服することより、

その過程のほうがずっと大切でした。

 

三度目で初めて、滝の中で「気持ちいい」と思えた

そして滝の下に入ったとき、

これまでとは少し違う感覚がありました。

 

初めて、

滝に打たれているその最中に「気持ちいい」と感じたのです。

 

これまでも終わったあとは、

とてもすっきりしました。

 

全身に強い水を受け、

無事に出てきたあとの爽快感は、

日常ではなかなか味わえないものです。

 

けれど今回は、

「終わったから気持ちいい」ではなく、

滝の中にいる時間そのものを感じる余裕がありました。

 

身体に当たる水、

ものすごい水音、

息を吸って吐いている自分。

 

その全部を一度に感じながら、

「私は今、ここにいる」と思いました。

 

昨年は、

生きるため、

呼吸を続けるために必死で唱えていた真言も、

今回は滝に身を委ねるために唱えられたような気がします。

 

同じ場所で同じように滝に打たれても、

自分の身体や心の状態が違えば、

受け取るものもこれほど違うのだと思いました。

 

今度こそ、シンギングボウルを鳴らしたい

そして今回も、

その日の三度目はシンギングボウルと一緒に滝の下へ入りました。

 

7月の失敗を繰り返さないよう、

どう持てばボウルに水が入らないのか、

事前に何度もイメージしていました。

 

滝の下で腕をまっすぐ伸ばし、

水が入らないようにボウルを持つ。

 

そして唱える真言に合わせて、

ボウルを鳴らしました。

 

滝の轟音の中で、

確かにボウルの音が聞こえました。

 

一緒に参加した仲間には、

あとから「滝の水音がすごくてボウルは聞こえなかった」と言われました。

 

でも、私の耳にはしっかり届いていました。

 

水の轟音と、ボウルの響き。

 

あのとき私が聞いた音は、きっと一生忘れないと思います。

 

滝の中で浮かんできた「ありがたい」

ボウルを鳴らしながら、

突然「ありがたいな」という言葉が浮かんできました。

 

頭で考えて選んだ言葉ではありませんでした。

 

こうしてここに来られたこと。

身体が動くこと。

水を浴び、

呼吸ができること。

 

怖がりながらも滝の下まで歩いてこられたこと。

 

そして、

誰かと一緒にこの時間を過ごせること。

 

普段は、

あることが当たり前になっているものばかりです。

 

けれど滝の中では、

その一つひとつが決して当たり前ではないように感じました。

 

「有ることが難しい」から、ありがたい。

 

そんな言葉を、

頭ではなく身体ごと受け取ったような時間でした。

 

そして今回は、

不思議なくらい頭痛もほとんどありませんでした。

 

手放す音と、受け取る音

無事に滝浴びを終えたあと、

ご神体である滝に向かって、

お礼の気持ちでシンギングボウルを奏でました。

 

そこで、また不思議なことがありました。

 

私が「手放す」と感じている音は、

とてもよく響くのに、

「受け取る」と感じている音は、

なぜかうまく鳴りません。

 

もちろん、

これは私自身の感覚です。

 

湿度や持ち方、

ボウルの状態など、

音の鳴り方にはいろいろな要素があるでしょう。

 

それでも、

滝行が「禊」といわれることと何か重なるようで、

少し不思議な気持ちが残りました。

 

今の私は、

受け取ることより先に、

まだ手放したいものがあるのだろうか。

 

そんなことを考えながら帰り支度を始めたときでした。

 

自然が見せてくれた、ほんの一瞬の景色

滝から上がる細かな水しぶきに、

木漏れ日から差し込む光が当たり、

目の前がキラキラと輝き始めました。

 

水と光だけでつくられた、

ほんの一瞬の景色です。

 

私には、

その水しぶきが龍の吐息のようにも見えました。

 

特別な何かを見た、

と言いたいわけではありません。

 

自然の条件が偶然重なって生まれた光景なのでしょう。

 

それでも、

その場にいて、

その瞬間を見ることができたことが、

ただ嬉しかった。

 

ここでもまた、

浮かんできた言葉は同じでした。

 

「ありがたいなあ」

 

滝に入る前には、

あれほど怖くて膝まで震えていたのに。

面白いものです。

 

身体は、同じ体験を同じようには受け取らない

昨年、

今年7月、

そして8月。

 

同じように滝に打たれているようで、

私の身体が受け取ったものは毎回違いました。

 

一度目は、

呼吸することで精一杯。

 

二度目は、

怖さはありながらも少し周りを見る余裕が生まれ、

 

そして三度目には、

滝の中で「気持ちいい」と感じ、

音を聞き、「ありがたい」という感覚まで受け取ることができました。

 

怖さそのものは、三度目になってもなくなっていません。

 

それでも、

怖さを感じたときに自分の身体がどうなるのかを、

以前より少し分かるようになりました。

 

胸が締まり、

みぞおちが重くなり、

膝が震える。

 

そんな身体の反応を感じながらも、

呼吸をして、

その場にいることができるようになったのだと思います。

 

怖くなくなったからできたのではなく、

怖さがあるままでも、

少しずつその先を感じられるようになった。

 

同じ場所で、

同じ滝に打たれても、

身体は毎回同じではありません。

 

だから今年の私は、

昨年には感じられなかった

「気持ちいい」や

「ありがたい」を受け取れたのかもしれません。

 

滝浴びを終えたあとは、

お楽しみのブルーベリー狩りへ。

怖がり、

震え、

滝に打たれ、

ありがたがり、

最後はブルーベリーを頬張る。

 

今年も、

なんとも私らしい一日になりました。

 

来年もきっと、

滝を目の前にして「怖い」と言っている気がします。

 

それでもまた、

滝に打たれたいと思っています。

 

 

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こんにちは。
鍼灸指圧師・東洋医学の叡智を届けるセラピスト、fucoです。

 

呼吸は、

胸に迎え入れるだけではなく、
お腹の奥へ降りるだけでもありません。

 

時には、

胸にこもったものを、
腕へ、

手へ、

外へと流していくことも大切です。

 

咳が出る。
喉がイガイガする。
胸がつかえる。
呼吸が浅い。
緊張すると、肘や前腕まで硬くなる。

 

そんな時、

肺の流れは胸の中だけで滞っているわけではなく、
腕の方にも反応を出していることがあります。

 

今回の「fucoのツボ」は、
肘の内側にある肺経のツボ。

 

胸にこもった息を、

腕からほどいていくような場所。

 

「尺沢(しゃくたく)」をご紹介します。

兪府で胸の上に風の通り道がひらき、
中府で胸いっぱいに息を迎え、
膻中で胸の中心がほどけ、
関元で呼吸がお腹の奥へ降りていく。

 

そして尺沢では、
肺にこもった熱やこわばりを、
腕へ流しながら、呼吸を静めていきます。 

 

尺沢とは

尺沢は、手の太陰肺経の5番目のツボです。

手の太陰肺経の「合水穴」とされています。

 

合穴とは、

経絡の気が深く集まる場所。

 

そして水穴でもある尺沢は、
肺経の中でも、

流れを受け止め、

静め、

整えるような働きがあるツボです。

 

肺経は、

胸から腕へと流れていきます。

 

その流れの中で、

尺沢は肘の内側にあります。

 

胸や喉にこもったもの。
咳や痰のように外へ出したいもの。
緊張で上にのぼった気。
前腕にたまったこわばり。

 

そうしたものを、

肘のところで一度受け止め、
流れを整えていくような場所だと感じています。

 

私は尺沢を、
「肺の流れを静める、肘の小さな沢」
のようなツボだと思っています。

 

名前の由来

尺沢の「尺」は、

前腕の長さや脈を意味するといわれています。

 

昔は、手首から肘までを一尺と考えたり、
前腕のあたりを「尺部」と呼んだりしました。

 

「沢」は、水が集まる場所。
 

沼や沢のように、

低いところに水がたまる場所を意味します。

 

つまり尺沢とは、
前腕という流れの中で、

水の気が集まるくぼみ。

 

肺経の気が、

豊かな水辺のように集まり、
余分な熱やこわばりを静め、
潤いをもたらす場所。

 

そんなふうに捉えることができます。

 

もちろん名前の由来には諸説あります。

 

でも、肘の内側にあるこのくぼみに触れていると、
ただ流すだけではなく、
いったん受け止めて、

落ち着かせるような働きを感じます。

 

呼吸が乱れている時。
感情が上がっている時。
胸に何かがこもっている時。

 

尺沢は、

その流れを肘のところで静かに整えてくれるツボです。

 

尺沢の場所

 

尺沢は、肘の内側にあります。

 

肘を軽く曲げた時にできる横じわの上。

中央に太い腱、上腕二頭筋腱が浮き上がります。
 

その腱の外側、親指側のくぼみに尺沢があります。

 

触ると、少しへこんでいて、
位置がわかりやすいツボです。

 

初心者の方でも比較的見つけやすい場所だと思います。

 

解剖学的には、

上腕二頭筋腱、

上腕筋、

腕橈骨筋に関係し、
 

筋皮神経や橈骨神経、

外側前腕皮神経、

外側上腕皮神経などとも関わります。

 

血管では、

橈側反回動脈や浅橈側皮静脈が近くを通ります。

 

肘の内側というと、
ただ腕のツボのように感じるかもしれません。

 

でも肺経は、

胸から腕へ流れる経絡です。

 

だから尺沢は、

肘のツボでありながら、
咳、

喉、

胸、

呼吸の浅さとも深く関係しているのです。

 

こんな時に使われます

尺沢は、昔から咳の特効穴として紹介されることも多いツボです。

 

咳。
痰。
喉の痛み。
喉のイガイガ。
喘息。
息苦しさ。
胸の痛みやつかえ。

 

こうした呼吸器系の症状に使われます。

 

特に、喉に熱感がある時や、
痰がからむような時、
胸や気道に粘りがあるように感じる時に、
肺の流れを整える目的で用いられることがあります。

 

また、

肘の痛み、

腕のだるさ、

肩こり、

首のこわばりなどにも使われます。

 

呼吸が浅くなると、

胸だけでなく、

肩や腕にも力が入りやすくなります。

 

反対に、

腕や前腕がガチガチに緊張していると、
胸もゆるみにくくなります。

 

身体は、ひとつながりです。

胸だけを見ても変わらない時、
肘や前腕からゆるめることで、
呼吸がふっと変わることがあります。

 

肺にこもったものを流すツボ

尺沢は、

肺の熱やこわばりを流し、

呼吸を静めるツボ。

 

そんなふうに感じています。

 

咳が出る時。
喉がイガイガする時。
胸が苦しい時。
呼吸が浅く、上にこもっている時。

 

身体の中で、

気が上がったまま降りにくくなっていることがあります。

 

東洋医学では、

肺には気を下へ降ろす働きがあると考えます。

 

でも緊張やストレス、

冷え、

乾燥、

疲れなどが重なると、
その流れがうまくいかず、
胸や喉にこもるような感じが出ることがあります。

 

尺沢は、

そうした上がった気やこもった熱を、
肘のくぼみからすっと逃がしていくようなツボです。

 

肺経の合水穴として、
流れを受け止め、

静め、

余分なものを流していく。

 

胸にこもった息が、
肘から少しほどけていくような感覚です。

 

過緊張の人に出やすい反応

私の臨床的な感覚では、
ストレスを感じやすい方や、
自律神経のバランスが乱れやすい方は、
尺沢に反応が出ることが多いです。

 

特に、過緊張タイプの方。

 

いつもどこか力が抜けない。
肩や首が張っている。
呼吸が浅い。
胸がつかえやすい。
前腕が硬い。
手に力が入りやすい。

 

こういう方の尺沢まわりに触れると、
ピンと張っていたり、
奥に硬さがあったり、
触れただけで少し響いたりすることがあります。

 

前腕の硬さは、

自律神経の状態とリンクしていることも多いように感じます。

 

手や腕は、毎日たくさん働いています。

 

スマホを持つ。
パソコンを打つ。
家事をする。
施術をする。
荷物を持つ。
何かを我慢して握りしめる。

 

身体は知らないうちに、
腕に緊張をため込んでいます。

 

そしてその緊張は、

胸や呼吸ともつながっています。

 

だから私は、

呼吸が浅い方のケアで、
胸だけではなく、

腕や前腕、

尺沢のあたりも大切に見ています。

 

感情との関係

肺は、東洋医学では「悲しみ」と関係すると考えます。

 

泣きたいのに泣けない。
吐き出したいのに言葉にならない。
胸の奥に何かが残っている。
ため息ばかり出る。

 

そんな時、

肺の流れは少し滞っているのかもしれません。

 

尺沢は、その感情の淀みを、
いきなり外へ出すのではなく、
いったん受け止めるようなツボだと感じています。

 

泣いた後、

胸がすっと軽くなることがあります。

 

涙が流れると、
呼吸も少し変わります。

 

尺沢は、

涙が流れる前の最後の防波堤のように感じることがあります。

 

無理に感情を出させるのではなく、
こもっていたものを、
少しずつ流していくための場所。

 

そんなイメージがあります。

気持ちが高ぶっている時。


感情を出しすぎて疲れている時。
反対に、何も出せずに胸が苦しい時。

 

尺沢にそっと触れることで、
呼吸が少し静かになっていくことがあります。

 

尺沢は、繊細なツボ

尺沢は、かなり繊細なツボです。

なので、強く押す必要はありません。

 

ソフトに押すというより、
指で触れてあげる。
撫でてあげる。
手を添える。

 

それだけでも反応が出ることがあります。

ツボ押しという言葉は一般的ですが、
尺沢に関しては、

強く押して効かせるより、
やさしく触れて、

流れを思い出させるような使い方が合うと感じています。

 

緊張下に置かれた時には、
さりげなく触り続けているのもいいかもしれません。

 

実は私も時々、
ひっそりと腕組みをするように尺沢のあたりに触れています(笑)

 

誰かと話している時。
少しドキドキしている時。
呼吸が浅くなっている時。

肘の内側にそっと触れているだけで、
身体が少し落ち着いてくることがあります。

 

ドキドキして呼吸が浅くなった時、
ぜひ思い出してみてください。

 

尺沢と冷え・温めること

尺沢は、

熱を流すツボとして語られることも多いですが、
 

臨床では「温める」ことが合う方もいます。

 

肺を温める。
背中の冷えをゆるめる。
陰気を抜いて、陽気を与える。

 

そんな感覚で使うことがあります。

 

背中が冷えている方。
呼吸が浅い方。
風に当たると咳が出やすい方。
冷えと緊張で胸が縮こまっている方。

 

そういう時は、

尺沢を温めることで、
肘から前腕、

胸の方まで、
ふっと呼吸が通りやすくなることがあります。

 

ただし、熱感や炎症が強い時は、
無理に温める必要はありません。

 

その時の身体の状態によって、
温める方がよい時もあれば、
やさしく触れて流すだけの方がよい時もあります。

 

大切なのは、
「今の身体が何を求めているか」
を感じることです。

 

セルフケアの方法

尺沢のセルフケアは、とても簡単です。

 

肘を軽く曲げます。

 

肘の内側にできる横じわを見つけ、
中央にある太い腱の外側、

親指側のくぼみにそっと触れます。

 

まずは、

押し込まずに触れてみてください。

 

呼吸が浅い時は、
そのままふうっと息を吐きます。

 

吐く息に合わせて、
肘の内側の緊張が少しゆるむのを待ちます。

 

もし心地よければ、
指の腹で小さく円を描くように撫でてもよいです。

痛いほど押す必要はありません。

 

むしろ、尺沢は繊細なツボなので、
「気持ちいい」
「落ち着く」
「少し響く」
くらいで十分です。

 

おすすめのタイミングは、

咳が出始めた時。
喉がイガイガする時。
胸がつかえる時。
ドキドキして呼吸が浅い時。
パソコンやスマホで前腕が疲れた時。
緊張した一日の終わり。

 

お風呂上がりに触れるのもおすすめです。

 

冷えがある方は、

肘の内側から前腕をやさしく温めるのもよいでしょう。

 

気を付けていただきたいこと

尺沢は、

比較的セルフケアしやすい場所にありますが、

強く押しすぎないようにしてください。

 

肘の内側には、

神経や血管も通っています。

 

しびれが出る。
強い痛みがある。
腫れや熱感がある。
肘の炎症がある。

 

このような場合は、

無理に刺激しないでください。

 

また、

咳や息苦しさ、

喘息症状、

胸痛、

発熱などが強い時は、
セルフケアだけで済ませず、

医療機関に相談してください。

 

ツボのセルフケアは、

日々の養生として取り入れるものです。

 

つらい症状を我慢するためのものではありません。

 

安心できる範囲で、

やさしく行ってくださいね。

 

fucoのひとこと

尺沢は、
胸にこもった息を、

肘からほどくツボ。

そんなふうに感じています。

 

呼吸は、

胸だけで起きているものではありません。

 

胸から腕へ。
肘へ。
手へ。

 

肺経の流れは、

身体の外へ向かう道でもあります。

 

言葉にならなかったもの。
吐き出せなかったもの。
泣けなかったもの。
胸にこもった熱やこわばり。

 

それらを、

無理やり出すのではなく、
 

肘の小さな沢でいったん受け止め、
少しずつ流していく。

 

尺沢には、

そんなやさしさがあります。

 

ドキドキして呼吸が浅くなった時。
胸がつかえる時。
前腕が硬く、力が抜けない時。

 

肘の内側に、

そっと触れてみてください。

強く押さなくても大丈夫です。

 

ひっそりと腕組みをするように。
自分にだけわかる、

小さな手当てとして。

 

呼吸は、

少しずつ静かさを取り戻していきます。

 

最後までお読みくださり、

ありがとうございます。
 

今日の呼吸が、

少しでもやわらかく、

胸から腕へ、

すっと流れていきますように。

 

==========

手の太陰肺経 LU5

合水穴

部位:肘前部、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱外方の陥凹部

筋肉:上腕二頭筋、上腕筋

皮枝:外側前腕皮神経

==========

【参考文献】

『新版 経絡経穴概論』 編者:日本理療科教員連盟、公益社団法人東洋療法学校協会

著者:教科書執筆小委員会(医道の日本社)

『経穴主治症総覧』編著者:池田政一(医道の日本社)

『藤本蓮風 経穴解説』著者:藤本蓮風(メディカルユーコン)

『ツボ単』監修:形井秀一、高橋研一 著者:坂元大海、原島広至(エヌ・ティー・エス)

『カラー版経穴マップ』著者:王暁明(医歯薬出版) など

 

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こんにちは。
鍼灸指圧師・東洋医学の叡智を届けるセラピスト、fucoです。

 

私は欲張りなので、

予定を詰め込みすぎるところがあります。

 

せっかく声をかけていただいたのだから、

お客様のご希望にはできる限り応えたい。

 

身体のことも、

東洋医学のことも、

まだまだ知りたい。

 

人体の神秘について、

私はずっと学び足りない気がしています(笑)。

 

そんなこんなで、

つい「大忙し」ぶってしまいます。

 

この夏も、

暑い、

暑いと言いながら、

なかなか立ち止まろうとはしませんでした。

 

ところが、

家族がそろって夏バテのような発熱をしたことで、

予定外に家で過ごす時間が増えました。

 

食事を作り、

様子を見ながら、

いつもよりゆっくり過ごす。

 

その数日の中で、

家族の身体だけでなく、

私自身の身体についても、

改めて気づいたことがありました。

水分はとっているのに、潤っていないような感覚

これだけ暑いと、

水分補給には気をつけます。

 

汗もたくさん出るので、

意識して飲むようにもしていました。

 

それでも私の身体には、

上半身に熱がこもるような感覚がありました。

 

一方、

エアコンの効いた部屋では足が冷たい。

 

暑いのに冷えていて、

汗は出るのに、

どこか身体の内側が乾いているように感じます。

 

さらに、

水や冷たい飲み物を増やしすぎると、

今度はお腹がついてきません。

 

水分をとることが大切なのは分かっていても、

飲めば飲むほど胃腸が重くなったり、

お腹がゆるくなったりする方もいらっしゃると思います。

 

そんなときは、

一度にたくさん飲まず、

少量ずつ回数を分けます。

 

冷たいものが負担になる日は、

常温の飲み物や温かい汁物も利用し、

果物や野菜、

お粥など、

食事に含まれる水分も合わせて補います。

 

もちろん、

暑い季節に水分を控えるという意味ではありません。

 

厚生労働省も、

室内にいるときや喉の渇きを感じていないときでも、

こまめに水分や塩分を補うよう呼びかけています。

 

ただ、水を一度にたくさん飲むことだけが、

身体を養う方法ではありません。

 

「水分をとること」と

「身体が潤うこと」は、

まったく同じではないのかもしれない。

 

家で過ごしながら、そんなことを考えました。

暑いのに足が冷たい「上熱下寒」

東洋医学では、

顔や上半身に熱を感じる一方で、

足元やお腹には冷えがある状態を

「上熱下寒」と表すことがあります。

 

暑さやほてりだけに注目すると、

とにかく冷やしたくなります。

 

しかし、

冷たい飲み物や食べ物が続くと、

胃腸が疲れ、

食欲が落ちたり、

お腹の調子を崩したりする場合もあります。

 

身体は、

熱のある場所と冷えている場所が、

別々に存在しているわけではありません。

 

上半身の熱も、

足の冷えも、

汗のかき方も、

胃腸の働きも、

1人の身体の中で起きています。

 

熱いところだけを冷やせばよいとも、

冷えているから温めればよいとも限りません。

 

その日の身体が何を消耗し、

何を受け取りにくくなっているのかまで見ていくことが大切です。

この年代の夏は「陰」と「気」を消耗しやすい

東洋医学では、

身体を温めて動かす働きを「陽」、

身体を潤し、熱が過剰にならないよう支えるものを「陰」と捉えます。

 

年齢を重ねるにつれて、

身体を潤す陰は少しずつ消耗しやすくなると考えられています。

 

特に更年期前後は、

ほてりや寝汗、

喉や皮膚の乾燥、

眠りの浅さなど、

熱と乾燥が組み合わさったような変化が現れることがあります。

 

そこに猛暑が重なり、

たくさん汗をかけば、

身体の水分や潤いはさらに失われます。

 

東洋医学では、

汗は身体の潤いから生まれ、

汗をかくことで「気」も消耗すると考えます。

 

汗をかくこと自体は、

身体の熱を逃がすために必要な働きです。

 

ただ、汗をかき続けたまま十分に補えないと、

水分だけでなく、

元気まで失ったように感じることがあります。

 

さらに、忙しく動き続け、

睡眠や食事が十分でなければ、

補うことよりも消耗することの方が多くなってしまいます。

 

このような状態を、

東洋医学では「陰虚」という言葉で捉えることがあります。

 

ただし、

ほてりがある人は全員が陰虚というわけではありません。

 

同じように汗をかいていても、

水分や塩分が不足している人、

胃腸が弱っている人、

睡眠不足が続いている人など、

身体の背景は一人ひとり異なります。

 

言葉に自分を当てはめることよりも、

今の自分に何が足りず、

何が負担になっているのかを見る方が、

暮らしの養生には役立ちます。

飲むだけでなく、食べることで潤す

家族のために作ったのは、

参鶏湯や冬瓜の薬膳スープでした。

そこにナツメやクコの実、

白キクラゲなどを加え、

果物もいつもより意識して取り入れました。

 

温かいスープなら、

水分だけでなく、

野菜や肉などの栄養も一緒にとれます。

 

白キクラゲは薬膳では身体を潤す食材として親しまれ、

ナツメは胃腸を支えながら気血を補う食材として使われます。

 

果物も、水分を含む食べ物の一つです。

 

甘味や酸味があり、

水やお茶とは違う形で身体に取り入れることができます。

 

以前、すりおろしリンゴについて書いた記事で、

「酸甘化陰(さんかんかいん)」という東洋医学の考えをご紹介しました。

 

酸味と甘味が合わさることで「陰」を補い、

身体を潤すという考え方です。

以前の記事はこちらです。

「子どもの風邪や寝ぐずりに|すりおろしリンゴの東洋医学的ちから」
https://ameblo.jp/phyto-fuco/entry-12940472506.html

 

もちろん、

果物や薬膳食材を食べれば、

誰でも同じように整うわけではありません。

 

甘いものを多くとれば、

かえって胃腸の負担になる人もいます。

 

大切なのは、

水分補給を飲み物だけに任せないこと。

 

汁物、

果物、

野菜、

お粥なども含めて、

その日の身体が受け取りやすい形を探すことだと思います。

梅シロップや赤紫蘇ジュースも、暮らしの知恵として

梅シロップや赤紫蘇ジュースを作っている方は、

夏の飲み物として活用するのもよいと思います。

 

水だけではなかなか飲めないときも、

香りや酸味が加わると口にしやすくなります。

 

自分で作った季節の飲み物を楽しめるのも、

暮らしの中でできる養生のよいところです。

 

ただし、シロップには多くの砂糖が使われています。

身体によさそうだからと濃いまま何杯も飲むのではなく、

しっかり薄めて、

普段の水分補給の一部として楽しみます。

 

糖尿病がある方や、

糖質の摂取量について指導を受けている方は、

飲む量にも注意が必要です。

 

また、梅シロップや赤紫蘇ジュースは、

おいしく水分をとるための普段の知恵です。

 

脱水時に必要な塩分や電解質を補う経口補水液とは、

役割が異なります。

脱水が疑われるときは、食養生だけで済ませない

 

大量に汗をかいたときや、

発熱、

下痢、

嘔吐などで脱水が疑われるときには、

水だけでなく、

身体から失われた塩分や電解質を補う必要があります。

 

OS-1などの経口補水液は、

脱水時に失われた水と電解質を吸収しやすい割合で配合した、

脱水症のための飲み物です。

 

一般的なスポーツドリンクよりもナトリウムやカリウムが多いため、

健康な方が普段の飲み物として日常的に飲むものではありません。

 

市販の経口補水液が手元にないときの、

応急的な備えとして覚えておける作り方もあります。

 

水500mlに、

砂糖20g(大さじ2強)
塩1.5g(小さじ1/4弱)

 

を入れて、よく混ぜます。

 

警視庁の防災情報でも、

この割合の自家製経口補水液が紹介されています。

 

塩分が濃くなりすぎないよう、

できれば計量器を使って正確に量ります。

 

これは健康のために毎日飲むものではなく、

市販品がないときの一時的な備えです。

 

糖質や塩分、

ナトリウム、

カリウム、

水分などの摂取について医師から指示を受けている方は、

自己判断で飲み続けないでください。

 

スポーツドリンクも、

汗をかいたときには便利な飲み物です。

 

ただし、商品によっては糖分が多く含まれるため、

水やお茶の代わりに一日中飲み続ける場合は、

糖分のとりすぎにも配慮が必要です。

 

経口補水液とスポーツドリンクは、

似ているように見えて出番が違います。

 

どちらも、たくさん飲めば飲むほど身体によいというものではありません。

 

そして、

経口補水液といえば「おいしい、まずい問題」。

 

私も体調のよいときに飲んだ際は、

お世辞にもおいしいとは思えませんでした(笑)。

 

ところが、

以前に軽い脱水のような状態になったときには、

とても飲みやすく感じたことがあります。

 

味だけで脱水かどうかを判断することはできませんが、

身体の状態によって、

味の感じ方まで変わることに驚きました。

 

あくまでも私の体験談ですが、

これもまた、

人体の不思議です。

だるさを「いつもの夏バテ」で終わらせない

暑い時期は少しくらいだるくても、

「夏だから仕方がない」

「この年代だから仕方がない」と

思ってしまいます。

 

けれど、

強いだるさ、

めまい、

立ちくらみ、

頭痛、

吐き気、

筋肉のけいれんなどは、

熱中症や脱水でも起こります。

 

涼しい場所へ移動し、

身体を冷やし、

水分や塩分を補っても症状が続くときは、

無理をせず医療機関に相談してください。

 

自分で水分を飲めない、

呼びかけへの反応がおかしい、

意識がはっきりしないときには、

飲ませようとせず、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

 

長引くだるさを年齢や暑さだけのせいにせず、

隠れた脱水や、

ほかの不調がないかを確かめることも大切です。

身体を潤すには、休むことも必要でした

家族の夏バテをきっかけに、

私はいつもより丁寧に食事を作り、

家で過ごしました。

 

果物を食べ、

ナツメや白キクラゲの入った温かいものをとり、

いつもより少し多く眠る。

 

そうして過ごすうちに、

私の場合は、

上半身にこもっていた熱や、

エアコンの中で感じていた足の冷えが、

以前ほど気にならなくなりました。

 

飲み物や食べ物だけでなく、

予定を減らして休んだことも大きかったのだと思います。

 

身体を潤すというと、

何を飲むか、

何を食べるかを考えます。

 

しかし、

消耗する時間を減らすことも、

身体の潤いを守る方法の一つです。

 

水分をとる。

必要なときには塩分や電解質も補う。

 

食事からも潤いを受け取り、

胃腸が疲れているときには無理をさせない。

 

そして、きちんと休む。

 

身体に必要なことは、

一つだけではありません。

 

水分をとるとお腹がつらくなる日もあれば、

汗をたくさんかいて、

しっかり補わなければならない日もあります。

 

同じ人でも、

その日の暑さ、

食事、

睡眠、

体調によって、

受け取りやすいものは変わります。

 

自分の身体に合う方法を、

一つに決めなくてもよいのだと思います。

 

大忙しぶって、

つい身体の声を後回しにしてしまう私に、

食べることと休むことの大切さを、

また身体が教えてくれました。

 

人体の神秘について、

私はやっぱり、

まだまだ学び足りないようです(笑)。

 

そしてまた……

私は忙しぶってしまうのでしょう。

 

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こんにちは。
鍼灸指圧師・東洋医学の叡智を届けるセラピスト、fucoです。

 

今回は、

ご本人のご了承をいただき、

定期的に楽志庵へ通ってくださっている

お客様の言葉をご紹介します。

初めてお会いした頃、

この方は

「何をしているわけでもないのに、いつも忙しい」

話されていました。

 

特別に大きな出来事が続いているわけではないのに、

気持ちも身体も、

いつも何かに追われているような感覚があったそうです。

 

夜は横になった瞬間に気絶するように眠ってしまう。

 

それだけ早く眠れているのだから、

ご本人は「私はよく寝ています」と思っていました。

 

けれど、その一方では、

「ゆっくり眠った気がしない」

という感覚もありました。

 

すぐに眠れることと、休めていること

布団に入ってすぐ眠れることは、

一般には寝つきがよいと捉えられます。

 

けれど、

眠った後に休んだ感覚がなく、

毎晩、意識を失うように眠りに落ちているのであれば、

本当に身体がゆるんで休めているのかは、

少し別の視点から見る必要があります。

 

この方にとっては、

それが長く続いてきた日常でした。

 

ご本人の中では「眠れない」

という困りごとではないため、

身体がどれほど疲れているのかにも、

気づきにくかったのだと思います。

 

私たちは、

自分にとって当たり前になっている状態を、

不調として認識しないことがあります。

 

眠れている。

食べられている。

仕事にも行けている。

 

それでも、

どこか休まらない、

何となくいつも忙しいという感覚だけが

残ることがあります。

 

身体の感覚より、時間を優先する毎日

睡眠だけでなく、

食事にも似たことがあります。

 

私たちは空腹を感じてから食べるとは限りません。

 

昼休みになったから食べる、

家族の食事時間だから食べる、

次の予定があるから今のうちに食べておく。

 

社会の枠組みの中で暮らしていれば、

身体の感覚だけに合わせて生活することはできません。

 

もちろん、

決まった時間に食べることが悪いわけではありません。

 

ただ、

身体の感覚を確かめる前に予定に合わせて動くことが続くと、

自分が今、

本当に空腹なのか、

疲れているのか、

休みたいのかが分かりにくくなることがあります。

 

空腹を感じてから

食べる食事がとてもおいしいように、

 

身体には本来、

食べたい、

眠りたい、

休みたいというシンプルな感覚があります。

 

この方も、

日々の忙しさの中で、

そうした感覚を受け取る余白が

少なくなっていたのかもしれません。

 

二週間に一度から、月に一度へ

楽志庵へ通い始めた頃は、

お身体の状態を整えるため、

二週間に一度のペースでセッションを受けていただきました。

 

その後、

少しずつ状態が落ち着き、

現在は月に一度のペースに変わっています。

 

そして先日、そろそろ、

もう少しセッションの間隔を空けてもよいのではないかと、

私からご提案しました。

 

そのお話をしているとき、

お客様の口から、

ふっとこんな言葉がこぼれました。

 

「そんなシンプルなことを、身体が思い出した」

 

何か特別な方法を覚えたということではありません。

 

疲れていることに気づくこと、

休みたいと感じること、

空腹を感じて食べること、

眠った後に休んだと感じられること。

 

本来はとても自然な感覚を、

身体がもう一度受け取れるようになってきた。

そのことをご自身の言葉で表してくださったのだと思います。

 

身体が整うということ

身体が整うというと、

痛みが軽くなることや、

不調がなくなることを思い浮かべる方が多いかもしれません。

 

もちろん、それも大切な変化です。

 

けれど、

自分の身体が今、

何を感じているのかが少しずつ分かるようになることも、

同じくらい大切な変化だと私は考えています。

 

今日は少し休んだほうがよい。

今はまだお腹が空いていない。

昨日よりよく眠れた。

これは心地よいけれど、こちらは少し無理をしている。

 

そうした小さな感覚を、

自分で受け取れるようになること。

 

それは、

身体を誰かに任せきりにするのではなく、

自分自身とのつながりを取り戻していくことでもあります。

 

セッションの間隔を空けることも、ひとつの変化

楽志庵では、

長く通い続けることを目標にしているわけではありません。

 

初めは短い間隔でセッションが必要だった方でも、

身体の状態が落ち着き、

ご自身で日々を過ごせるようになれば、

少しずつ間隔を空けていきます。

 

今回のお客様が、

二週間に一度から月に一度へ変わり、

さらに次の段階へ進めそうになったことも、

本来の自分らしい健康に近づいている証しの一つだと感じています。

 

施術を受けた直後だけ楽になるのではなく、

日常の中で自分の身体に気づけるようになること。

 

その積み重ねによって、

セッションに頼りすぎなくても

過ごせる時間が少しずつ長くなっていきます。

 

「身体が思い出した」という言葉を受け取って

「そんなシンプルなことを、身体が思い出した」

この言葉を聞いたとき、

私はとても嬉しくなりました。

 

楽志庵が目指しているのは、

施術者が一方的に身体を変えることではありません。

 

その方の身体が本来持っている感覚や、

整おうとする力が働きやすい状態をつくり、

ご自身の身体を

もう一度受け取れるようになることを大切にしています。

 

今回のお客様の言葉は、

その変化をご本人が感じ、

言葉にしてくださったものだと思います。

 

大切な体験を聞かせてくださり、

ありがとうございました。

 

これからも、

身体の状態だけでなく、

その方が日々をどのように過ごし、

何を感じているのかを丁寧に伺いながら、

本来の自分らしい健康へ

近づいていく時間を支えていきたいと思います。

 

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こんにちは。
鍼灸指圧師・東洋医学の叡智を届けるセラピスト、fucoです。

 

エサレン®マッサージ入門クラス in 宗像に参加してきました。

 

私は、

ヘロヘロになりながら鍼灸学校を卒業したとき、

「もう何も資格は取らない」

と思いました。

 

けれど、

人に触れる仕事をするための学びは、

生涯続けていきたいとも思いました。

 

鍼灸師になってから、

少しずつ強くなってきたのが、

「もう一度、初心に帰りたいな」

という気持ちです。

 

新しい資格や技術を増やしたいというよりも、

もっと根源的な「触れること」について理解を深めたい。

 

そして、

触れる質を高めていきたいと思うようになりました。

石垣島から、じわじわと残ったもの

そんなときに目に留まったのが、

憧れていた先生が開催するエサレン®マッサージの模擬クラスでした。

 

それが昨年の2月。

まずは二日間の模擬クラスに、

通いで参加しました。

 

その後、

5月には石垣島で開催されたクラスにも参加しました。

 

初めて触れるエサレンの手技や技術は、

とても新鮮でした。

 

クラスには、

瞑想やヨガなど、

自分自身を見つめる時間も取り入れられていました。

 

けれど、そのときの私は、

 

どのように触れるのか。

 

どのように手を運び、

身体全体をつないでいくのか。

 

そんな手技や技術にすっかり心を奪われ、

覚えることに夢中になっていました。

 

クラスの中で大切にされていたことを、

そのときの私は、

十分には受け取れていなかったのかもしれません。

 

けれど、

石垣島から帰り、

楽志庵でお身体に触れる日々を重ねる中で、

「触れるとは、どういうことだろう」

と、少しずつ思いを馳せるようになりました。

 

石垣島のクラスには、

エサレンを初めて学ぶ方も参加していました。

 

もちろん、

私自身も手技に迷うことがあります。

それでも相モデルでセッションを受けると、

手技の習熟度だけでは説明できない心地よさがあり、

身体も心も自然にほどけていきました。

 

この心地よさは、

どこから生まれるのだろう。

 

そんな問いも、

石垣島から持ち帰ったものの一つでした。

 

Awareness――気づくこと。

Presence――今ここに在ること。

Connection――つながること。

 

そして、

エサレンにある「Massage with」という言葉。

 

何かを一方的にしてあげるのではなく、

相手とともにあるマッサージ。

 

それらの言葉が、

時間がたつほど、

じわじわと私の中で大きくなっていきました。

 

もう少し知りたい。

 

頭で理解するだけではなく、

もう一度その場に身を置いて、

味わい、

感じてみたい。

 

そう思い、

宗像でのクラスに参加することを決めました。

 

目の前にいるのは、手順ではない

宗像でのクラスでは、

「呼吸」が大きなテーマになっていました。

 

もちろん、

手技や身体の使い方も丁寧に伝えていただきます。

 

今までの私なら、

まずこうして、

次はここへ手を運んで、

その次はこう動いて……。

 

そんなふうに、

順番を必死に覚えようとしていたと思います。

 

けれど、

目の前にいるのは手順ではありません。

 

私を信頼し、

身体を委ねてくれている一人の人です。

 

パートナーの呼吸を感じ、

身体に触れ、

今ここに一緒にいることを感じる。

 

手技への迷いが出てきたときには、

次の手技を慌てて探すのではなく、

いったん手を止めて、

自分の呼吸へ戻る。

 

言葉にすると、

とてもシンプルです。

 

でも、

正しく行うことや、

間違えないことに気を取られると、

目の前の方を見ることを忘れてしまうことがあります。

 

何をするかよりも、

どのようにそこにいるのか。

 

今回のクラスでは、

技術の前にある大切なことを、

改めて身体で受け取ってきました。

 

「学んできた」というよりも、

「受け取ってきた」

 

という言葉の方が、

今の私にはしっくりきます。

 

クラスをリードしてくださった

桑田文子さんと岩下明歩さんが、

言葉だけではなく、

その場の在り方を通して伝えてくださったものなのだと思います。

 

私が手技に戸惑っていると、

すっと隣に来て、

必要なことを教えてくださいます。

 

そんな細やかな気配りも心強く、

安心してセッションに向き合うことができました。

 

テクニックや手順を知っていることは、

施術する側にとって大きな安心になります。

 

経験や知識を積み重ねることも、

もちろん大切なことです。

 

鍼灸では、

痛みや不調を軽くするために、

治療という目的をもって、

こちらから身体へ働きかける場面もあります。

 

エサレンの言葉を借りれば、

「Massage to」に近い場面もあるのかもしれません。

 

けれど、

何かをしてあげることだけに意識が向くと、

目の前の方の呼吸や、

その方自身の力を置き去りにしてしまうことがあります。

 

何をするかを考える前に、

その人とともにいる。

 

治療や技術を用いるときにも、

その土台には「Massage with」の姿勢があること。

 

その大切さを、

改めて実感した宗像でした。

 

人と自然の中で、少しずつほどけていく

クラスの時間だけではなく、

宗像で皆さんとともに過ごした時間も、

今回の学びの一部でした。

 

初めて会う方々と相部屋で過ごし、

食事もお風呂も一緒。

 

朝は神社の杜を、

言葉を交わさず静かに歩きました。

 

足の裏に伝わる地面の感触や、

木々の間を通る風、

鳥の声。

 

海では波の音を聞き、

水平線を眺め、

身体を水に浮かべました。

 

普段の私なら、

初めての人ばかりの中で、

少し構えてしまいそうなものです。

 

けれど今回は、

不思議なくらい自然にリラックスしていました。

 

気づけば、

たぶん誰よりもはしゃいでいた私。

 

自分でも驚きました。

 

そこには、

何かをうまく話さなくても、

無理に周りへ合わせなくても、

自分のままでいてよいと思える安心感がありました。

 

人は安心できると、

呼吸が変わり、

身体がゆるみ、

その人らしさが自然に表れてくる。

 

楽志庵の施術でも大切にしてきたことを、

今度は私自身の身体で味わったように思います。

 

触れることだけではなく、

ともに食べ、

ともに笑い、

同じ景色を眺めること。

 

身体と心、

自然、

そしてそこにいる人たちとの間に、

少しずつつながりが生まれていく。

 

エサレンで大切にされていることは、

マッサージをしている時間だけに起きるものではないのだと感じました。

 

触れられる側になって、わかったこと

クラスの三日目には、

先輩のプラクティショナーさんと

交換セッションをする機会にも恵まれました。

 

温かく、

やさしい手のぬくもりを、

しっかり味わおうと思っていたのですが、

私はあっという間にまどろみの中へ。

 

幸せだなあ。

ありがたいなあ。

 

そんな言葉が、

波のように浮かんでは消えていきました。

 

エサレン®マッサージを受けると、

私は赤ちゃんになったような気持ちになります。

 

大切に、

大切に触れられて、

おくるみに包まれているような感覚。

 

何かを求められることもなく、

ただ安心して身体を委ねられる時間です。

 

どのようなセラピーであっても、

技術を学ぶより先に、

 

触れるとはどういうことか。

相手を尊重するとはどういうことか。

 

そんな根源的なことに触れる時間があればいいのにな、

と改めて思いました。

 

そして、

触れる側でいるためには、

触れられる側の感覚を知ることも大切です。

 

自分に余白がないままでは、

目の前の方の呼吸を待つことも難しい。

 

施術者である私自身が整い、

落ち着いてそこにいることも、

触れる質の一部なのだと思います。

 

楽志庵へ持ち帰ったもの

宗像で受け取ってきたものは、

新しい手技だけではありませんでした。

 

目の前の方の呼吸を感じること。

相手のペースを待つこと。

迷ったときには、

慌てて何かをするのではなく、

自分の呼吸へ戻ること。

 

そして、

安心して身体を委ねられる場をつくること。

 

どれも、

楽志庵でこれまでも大切にしてきたことです。

 

けれど今回、

自分自身が触れ、

触れられ、

人や自然の中で過ごすことで、

もう一度その意味を確かめることができました。

 

新しい技術を増やすだけではなく、

触れる質を少しずつ深めていく。

 

これからも、

目の前の方と丁寧に向き合いながら、

人に触れる仕事の学びを続けていきたいと思います。

この宗像クラスでご一緒した皆さん、

素敵な時間をありがとうございました。

 

一緒に学び、

笑い、

過ごせたことをうれしく思います。

 

また、

どこかでお会いできたらうれしいです。

 

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