満を持して「力学的エネルギー保存則」の説明に入りましょう。
ここで,前々回の「保存力」の知識が大事になってきますので,
頭の片隅に保存力のこと置きながら,この記事を確認してください。
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まず,↓のような簡単な状況を考えてみましょう。
【図】
地面から高さ
高さ
球の質量を
ですね。
左辺は運動エネルギーの変化量,右辺は重力がした仕事を表しています。
この式をちょっと変形すると,
となります。
この式を見て,ニヤリとした人もいるかもしれません。
とりあえず,これはこれで置いておきます。
次の状況を考えます。
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【図】
地面から高さ
高さ
ただし,この斜面はなめらかであるという設定でお願いします。
今回は球に対して,非保存力である垂直抗力がはたらきますが,
垂直抗力の向きと球が進む方向は垂直なので,
垂直抗力が球に対してする仕事は0です。
だから,この状況をエネルギーの原理を用いて式にすると,
さっきと同じ式が出て来るので,ここでも,
という関係式が出て来るのですね。
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あともう1つだけ,別の状況を考えます。
【図】
ジェットコースターしてA地点からB地点に行く場合です。
ここでも,摩擦力ははたらかないという設定でよろしく。
A地点を速さ
一度,B地点より低い場所に行くが,B地点では速さが
このときも,結局は,
という関係式が出て来ます,やってみな。
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はい,ここで3つ状況を考えましたが,
いずれも球に対して仕事をする力が保存力のみである状況でした。
そういうとき,とっても面白い関係式が出て来ましたね。
「A地点での位置エネルギー+A地点での運動エネルギー」と,
「B地点での位置エネルギー+B地点での運動エネルギー」が等しい,
という関係式。
物体に対して非保存力が仕事しない場合は,
「位置エネルギー+運動エネルギー」は変化しないよ,
ということを意味しています。
そこで,この「位置エネルギー+運動エネルギー」のことを,
「力学的エネルギー」と呼んでしまうのです。
もう一度さっきの関係式の意味を,言葉を換えて表現すると,
物体に対して非保存力が仕事しない場合,
「A地点での力学的エネルギー」=「B地点での力学的エネルギー」
となる。
つまり,力学的エネルギーが変化しない,保存する,ということなので,
この関係式を「力学的エネルギー保存則」と言います。
超大事!!!!
もうね,これ超大事!!!!
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ぢゃあ,非保存力がはたらく場合,力学的エネルギーはどうなるのか,
確認してみましょう。
さっきの2番目の状況で,斜面が粗い場合を考えます。
【図】
A地点から速さ
B地点を通過するときの速さが
今回は,摩擦力が球に対して仕事をします。
力の向きとすすむ距離が逆ですから,負の仕事です。
この摩擦力がする仕事を
さて,エネルギーの原理の式を立ててみると,
ですね。
この式を変形してみましょう。
となりますが,…おやぁ??
A地点での力学的エネルギー = B地点での力学的エネルギー+α
となっちゃって,
A地点での力学的エネルギー = B地点での力学的エネルギー
ではなく,「+α」っていう余計なおっさんが付いてきちゃいました。
おわかりだと思いますが,
非保存力が物体に対して仕事ししてしまう場合,
力学的エネルギーは変化してしまう,保存されない,
ということが言えます。
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というワケで,力学的エネルギー保存則は,とても便利で重宝します。
力学的エネルギー保存側が成り立つ条件をしっかり確認してください。
では,今回のポイント。
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力学的エネルギー保存則
A地点での力学的エネルギー=B地点での力学的エネルギー
ここで,「力学的エネルギー」とは,
位置エネルギーと運動エネルギーの和のことである。
※なお,非保存力が物体に対して仕事をするとき,
力学的エネルギー保存則は成立しない。
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というワケで,「保存力」っていう名前は,
この力学的エネルギー保存則からきているのですね。
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