数式におぼれてしまい、物理的描象が描けなくなる時ってありませんか??


今、まさにそんな状況に陥っています。


そもそも昨日は何をしていたのかというと、Compton scatteringとinverse Compton scatteringについての問題を解いていました。


これらについて少し述べておきましょう。


電磁波が(実験室系で見たときに静止している)電子に衝突すると、電磁波のエネルギーを電子に渡して電子を弾き飛ばし、電磁波自身もふっとんでいく散乱現象を考えましょう。


このとき、電磁波を波として見たときの散乱現象はThomson scatteringと言いますが、量子力学的には電磁波を粒子(photon)として見ることもできます。そして、Compton scatteringとは電磁波を粒子として見たときの電子との散乱現象のことを言います。


今度は静止した電子ではなくて運動している電子、それも光速に近い速さで運動している電子との衝突を考えましょう。このとき、光子が電子との衝突によってエネルギーを受け取る場合の散乱現象をinverse Compton scatteringと言います。


つまり、光子→電子のエネルギーの受渡しをするのがCompton scatteringで、電子→光子のエネルギーのやりとりをするのがinverse Compton scatteringです。


で、このエネルギーのやりとりについてえっちらおっちら計算していたわけです。Compton scatteringについては高校の物理でも学習したはずで、簡単な計算で入射前と散乱後の光子のエネルギーの関係を導出できます。(ちなみに、大学で相対論を習うと4元運動量を用いて計算します。)


もしかして選択制だから習っていない人もいるのかな?


inverse Compton scatteringについては実験室系と電子の静止系を考えてうまく計算してやれば、これまたやはり、入射前と散乱後の光子のエネルギーの関係について導出できます。ちなみに、この場合は当然ながら入射前よりも散乱後の光子のエネルギーの方が大きくなります。


まぁ、この辺りはイメージが湧くのでいいのですが、放射強度の計算について今、少し悩んでいます。こちらは面倒くさい計算をえっちらおっちらやってやれば、inverse Compton scatteringの放射強度を求めることができますが、「そもそも、inverse Compton scatteringの放射強度って何?」って状態です。


相対論的運動をする電子の運動方程式を書いて、加速度を求め、放射強度を導出したまでは良かったのですが、その物理的描象がイマイチピンときません。


ということで、方程式とにらめっこをしつつお絵かきをしようと思います。


ところで、このinverse Compton scatteringですが、実際にどのような場面で起きるのでしょうか?


実はその一例として、CMBのSZ(スニヤエフ・ゼルドビッチ)効果があります。この辺りはまだ勉強していないので、詳しいことは分かりませんが、電子のエネルギーを光子に与えることによって、CMBスペクトルがゆがむみたいです。この件に関しては勉強したら、書いてみようと思います。


それにしても、電磁気学を電磁気学として学習していたときは散乱や偏光に何ら面白さを感じませんでしたが、これらを実際に宇宙現象に適用していくと非常にエキサイティングです。


ちなみに僕が5セメに入って、よく耳にしたり目にした単語はCMB、偏光、散乱でした(笑)


このように電磁気学を宇宙現象に応用していくのが5セメにある「天体物理学Ⅱ」の授業です。


ましゅどく君、興味をもったかな??