さて、後半戦に挑むまえに、腹ごしらえです。水先案内人(水じゃないか!?)の友人THさんも所属するNPO法人が運営するカフェ・コロボックルでランチをいただきます。
http://korobo.org/
正直、定食メニューはそこそこな感じですが、お惣菜バイキングが素晴らしい。ダイニングルームのテーブルや椅子は意外にも宮大工さんがボランティアで作ったものとか。いい感じです。

そして後半1箇所目は、「三養醸造」さんの山田さん。友人THさんが、きょうのプログラムのなかでは一番わたくしに合わせたかったという若旦那は、初対面の挨拶が終わるやいなや、「テイスティンググラスもあるんだけど、これじゃワインの粗がお客さまにバレちゃうから、イケアの安物のグラスで良いかなぁ」いきなり山田節炸裂。

こういう雰囲気が好きで、わたくしは寄席通いをしているのでありますが。確かに流行遅れの厚手のグラスで安いのは知ってますが、テイスティンググラスより二回りは大きいチューリップ型の二種類のグラスは、無料試飲には贅沢過ぎます。

まずは、さきほど訪ねた喜山洋酒さんを良きライバルに据えているとおっしゃる甲州。まったりとした酒質は、山田さんの作品も、土屋さんの作品も、五分と五分。土屋さんのが尖塔とその周りの急坂の岩場を擁する権現岳に例えると、山田さんのは均整のとれた左右対称のなだらかな稜線を敷く編笠山に例えられます。ただ、山梨県民とて、忙しいひとは八ヶ岳に登っている暇などないので、この譬えを披露することなく、続いてシャルドネ。

知れば知るほどわからなくなるこの、ある意味ありふれた品種。山田さんのシャルドネには、わたしはこれまで経験したことのないエキセントリックさと堅牢さを感じました。ただし、もう一度飲みたくなると思えるかどうかとっさには判断できなかった一本。ですが、一緒に試飲する山田さんは、無言で自画自賛するがごとく、おおきく頷きます。

驚いたのは新樽を使っているという事実。恥ずかしいことにわたくしはステンレスタンクかセメント樽かと思ってしまっていたのでした。それくらい溌剌として凝縮感のあるフルーツを取り出せていたということですね。

続いて赤。マスカットベイリーAの樽なしと樽ありをいただきます。樽ありは、ラブルスカ種特有のフォクシーな臭いをマスキングするために僅かな期間アメリカンオークの新樽を経由して、その後フレンチオークの旧樽で寝かせるのだそうです。このバランスが絶妙。星3つです。

わたくしがもっとも気に入って、迷うこと無く仕入れてしまったのは、山ソーヴィニヨン。その名も「雁坂の夢」。雲取山と甲武信ヶ岳を繋ぐ頂戴な尾根《奥秩父縦走路》で最も有名な雁坂峠こそ、日本で最も標高が高い、3大峠のひとつにして、現在はその下をショートカットする雁坂トンネルが一般国道の山岳トンネルとしては国内最長として知られています。言い忘れましたが、山田さん親子のお店は、そのトンネルに繋がる《雁坂の道》沿いにあるのです。

開けたては野生葡萄を感じさせない上品で洗練された香りと味わい。しかし、二日目三日目となるとやはりジビエのような香りが出てくるのだと、不満そうに山田さんはおっしゃいます。変化を楽しむという点からはこんなにおもしろいことはない。しかし乃木坂ヴィラージュで、バイザグラスで出すには問題もある。。。そんな悩みを通り越して、衝動買いしてしまっていたのでした。

〆はメルロー。これも山田さん納得の出来栄え。しかしわたくしは、雁坂の夢の印象が漂ってしまって、テイスティングコメントは忘れてしまいました。

続いて今日最後のルバイヤートの「丸藤葡萄酒工業」の大村さん。ここでも8本いただいたので、もう長くなってしまいます。前編後編のつもりでしたが、続きは更に明日ということでお許し下さい。