『感覚過敏に慣れはあるのか?』
今日は、ピースホームタウンのセラピストの先生の記事をご紹介させていただきます
「過敏さは繰り返すことで受け入れられるようになる。」
「嫌な刺激から遠ざけるのは教育的に良くない」とよく耳にします。
そして、このように言われてしまうのは2つ理由があると思います。
1つは私たちにとっては何でもない感覚刺激なので、感覚過敏の子どもたちが、とても苦痛に感じる可能性があるという実感が湧きにくいので、あまり深く捉えられていないことが考えられます。
今は感覚過敏について説明されている本もたくさん出版されています。
私たちがわかりやすいのが比喩表現で、「耳元でガラスをひっかくキーキー音が常に聞こえている」「全身を紙やすりでこすられている」などを想像すると、感覚過敏が子どもにとって、いかにつらいことかがわかるかと思います。
2つめに、人は同じ刺激が繰り返し入るとそれに注意を払わなくなる神経メカニズムがあるので、このような過敏性は慣れれば克服できると考えられていることです。
これは、聞けば「確かにそうかも」と思うかもしれません。
感覚過敏をもつ子どもの神経生理学的なメカニズムはまだ解明されていませんが、「慣れ」が起きにくい事がその原因の一つとも言われていたりする研究もあります。
なので、刺激に慣れにくいのが、こういった子どもたちの抱える困り感であることをある程度受容しなくてはならいないと思います。
中には受け入れられるように見えても、本当はただ抵抗するのをあきらめてしまって耐えているお子さんもいます。
これでは見かけ上慣れたように見えるだけで、決して本質的な問題の解決になっていない事を理解する必要があります。
結論を言うと、感覚過敏は「慣れる」という事が、基本的にはないと私は考えています。
感覚過敏についての周囲の理解、容易に回避可能な環境調整、本人の意見を聞き、具体案を出すことが大事だと思われます。
もし、関わっている(育てている)お子様に感覚過敏があるのであれば、、
・感覚過敏は子どもにとってはつらいもの
・感覚過敏をもつ子どもの困り感は、刺激に慣れにくいのが原因の1つである可能性
・受け入れられるように見えてもただ我慢しているだけのお子さんもいる
という事を念頭においてお子様と関わってみてください。
川口店 作業療法士 川井 悠平