YouTube「天城越え」予告編より。














🎙️ 前進座・松本清張朗読劇「天城越え」より



以下 

昨年上演された前進座・朗読劇「天城越え」の

感想を(fbにpostした分)加筆したものです。



朗読劇「天城越え」


面白かった。

言葉が魔力をつけて動き出す!!


天城隧道の 薄暗くしっぽり湿った空気感

どこからか 水の滴る小さな響き

まるで自分が 足もと覚束なく歩いていて

突然 

大男の土工と出くわすのではないかと不安になった…


少年と 山道を裸足で歩く 娼婦の大塚ハナは

純心無垢な少女に帰ったかのように

明るい笑顔で語り合う…

手拭いを裂いて

少年の足の傷に巻いてやる時は

年上の姉さんらしく優しさに満ちて

白く細いうなじからは ほのかに白粉の香りがして

目覚めはじめた 少年の心を揺らす…


しかし

ひとたび流れ者の男に向いたハナの目は

獲物を逃すまいとする女狐の目だった!


この情景を展開する圧巻の朗読劇

サスペンスは一気にクライマックスへ

ギャァ〜〜!!

少年はおびただしい返り血を浴びる!

なぜ

彼は 渾身の力を振り絞って

大男に襲いかかったのか…


三十数年の時を経ようとも

誰がどのように解明できるというのだろうか

少年から大人への

霧に包まれた 細い一本の道。





いつの時代も 人間の心の闇に

鋭く斬り込む松本清張作品。

前進座朗読劇は また違った切り口で

その言葉の鋭さで 聴くものを惹きつけます。