「誕生 家族 そして遺影」
と言うコンセプトでポートレートを撮っていて驚くのは、皆、色々な不安や矛盾を抱えながら生きているけれども、非常に自分に肯定的なんだな。

例えば今回連続してアップしている金さんもそうなのですが、ポートレートを撮るアポも取らずに僕は彼女に会っている。
初対面のカメラマンの僕に対し、何のてらいも無くストレートにその視線を向ける。
宝居さんとは面識はあったが、これもまた前もって撮影の約束もなく僕は彼女を訪ねている。
高安君なんぞは、その日たまたまチエミちゃんに紹介された画家で、僕がたまたまカメラを持っていて、その場で
「君の遺影を撮らせてくれないか?」
と頼んだ。

「前もってカメラマンに撮ってもらうのわかっているならば、床屋に行っておけば良かったな」
とか
「お気に入りのお洋服、着てくれば良かったわ・・・」
なんて皆、思うのだろうけれども、そこは潔い。

「どうぞこの場所で、今のこの私を撮ってください」
その姿勢に僕は感動する。

ダンサーの藤田さんは撮影の条件に
「ノーメイクで撮ってください」
と来たもんだ・・・笑

もう一つ言えるのは、皆不安を抱え生きているけれども、自分が生きている事に命をかけている。
「生きている事に命をかける」
って変な言葉だけれども、笑
言葉を変えるならば
「死ぬ気で生きている」

ダラダラと何となく生きている人は、きっとそんな姿勢を出来ないと思う。
過去にも未来にも、ましてや今の自分を見つめることすら出来ないと思う。
過去の自分も嫌いなのだろうし、今の自分も嫌いなのだろうし、で、ダラダラと生きているのだから、未来の自分なんて想像もしないのだろうな。
と言うよりも、全部目をそらして生きていくのだろうな。

被写体の生き様を僕は撮らなくてはならない。
カメラマンとして、答えなければならない。
僕も
「死ぬ気で撮らなければならない」

実際僕はこの企画を成功させる願掛けもあって禁煙した。
それが原因で心に深い深い傷も負った。
大げさに書いているのではないよ。
実際体重も十キロ以上落ちるほど、何も食べることが出来なくなったりもした。
皮膚はボロボロとなり、髪の毛は抜け落ちた。
その強烈な禁断症状から、僕の心は僕の身体から逃げ出し、幽体離脱も経験した。
その時、僕は死ぬんだ・・・とも思った。
でも僕はカメラマンなのだから、命にかけても良いより多くの写真を撮る為に禁煙しなければならなかった。

被写体が死ぬ気で生きているのだから、カメラマンの僕は死ぬ気で写真を撮らなければならない・・・
当たり前と言えば、当たり前のことである。

そして皆、後悔はあっても自分の過去を素直に見つめている。
そして皆、今の自分に満足はしていないけれど、素直にそれを見つめている。
そして皆、不安はあっても自分の未来を素直に見つめている。

僕の使命はカメラを通して、つたない写真技術を通して
「被写体が被写体を確認する」
ほんの僅かな、お手伝いをすることだけなんだ。

見よ!
この美しい瞳を。
過去と現在と未来を見つめる、この悲しいまでも美しい瞳を!!


画家 金茂華  写真 南雲賢  青山にて

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