「SLやまぐち号を写真に撮ろう。」と頑張ってみた。〜島根県津和野〜 | 旅するカメラ

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SLやまぐち号


何度も言っているが私は鉄道マニアではない。
ごくごく一般的列車好きなレベルの普通の人である。

が、SLは凄かった。
そんな普通の人であっても思わず狂喜乱舞してしまう程の大迫力。
一度見てしまったら・・・ファンにならずにはいられないかも。





津和野城を目当てに津和野へ行ったのだが、
津和野城の上から写真を撮っていた時、遠くで汽笛の音が聞こえSLが走って来るのが見えた。

新山口と津和野の間はSLやまぐち号が走っており、
山の上に建つ津和野城の三十間台からもよく見えるのである。
眼下に見える津和野の町中を走るSLがなんだかオモチャみたいで可愛らしい。
上り坂では煙を出しながら津和野駅へと消えて行った。

SLやまぐち号




3時間後には折り返しで津和野から新山口へ向かうSLが走ると言う事なので見に行く事にした。
その間、呑気に津和野の路地を散策したりお昼ご飯をまったりと食べていたら・・・
回転台に乗って機関車が向きを180度変える所を見逃した。
ああ、呑気にお昼ご飯なんて食べなきゃ良かったかも。

と、私が津和野駅へとやってきたのが出発の約1時間前。
既に人だかりが出来ていた。
目の前には客車だけがレールの上に乗っているのだが肝心の機関車部分が見当たらない。
そう思っていたら線路の先から蒸気が上がる音が!!
かなり迫力のある音に振り向くと・・・機関車がバックしながらこちらに向かって来る所だった。

SLやまぐち号




しかも目の前で客車と連結。
なんだか得した気分♪

SLやまぐち号 SLやまぐち号 SLやまぐち号




連結後ゆっくりとSLが前進して行き、一旦停車した後一つ向こう側のホームへと入って行った。



SLの発車時刻ギリギリに来るより、ちょっと早めに来てみると行ったり来たりしてくれるので楽しいかも。
サービスでウロウロしているわけではないんだけど(笑)
今の列車は前後に運転席が付いているので運転手さんが入れ替わるだけで折り返し運転出来るけど、
SLは機関車ごとぐるっとまわらないといけないから色々大変らしい。


運転手さんの制服も普通のJRの制服ではなく、レトロな制服だったがそれがまたカッコ良く見える。
気のせいか、運転手さんの顔も誇らしげに見えるよ。
本当は煙とススで大変なんだろうけど。

SLやまぐち号




ここでSLは発車まで待機するようだ。
停車したSLをみんなが一斉に写真やビデオで撮影し始める。
まるでスター☆

SLやまぐち号

SLやまぐち号

SLやまぐち号

蒸気を吐き、黒煙をあげる動くSLを初めて見た私は嬉しくって沢山写真を撮ってしまった。
ホームの向こう側にはいわゆる「テツオタ」と呼ばれると思われる方々がいらっしゃったのだが
彼らから見れば私もれっきとした鉄道マニアに見えたかもしれない(笑)

でも、私だけではなく女性も沢山写真を撮っていた。(しかも一眼レフで)
もうこれは鉄道マニアだけが喜ぶと言った代物ではないのかもしれない。
老若男女、構わずみんなキラキラとした目でSLを見ているのが印象的だった。





と、発車30分前になりもう少し先でSLが走って来る所を写真に撮ろうと思い立った。
先ほど津和野城の上から写真を撮っていた時に線路の横を道路が走っていたのを思い出したのである。

と、そこから線路に向かって走り出す。
事前に撮影ポイントを調べておけばよかったのだろうが、しょうがない。
こうなったら行ける所まで行ってみて撮るしか無いのだ。

まだ観光客が鯉の泳ぐ水路を静かに散策して歩いている中を街並に目もくれず一目散に通りすぎる。
あーあ、またもや何やってるんだろう。私。
津和野はゆっくりと街並を散策する為にみんな訪れるって言うのに・・・



とは言え、狭いと思った津和野の町だったが走ってみると結構広い(当たり前か)。
県道226号線が線路から離れるポイントで諦めた。

SL
(ちょうど津和野城の上から写して見ていたこの付近)

しかし、よくよく見てみると手前がちょうどカーブで上り坂になっているではないか。
SLは上り坂で煙を吐くに違いないから絶対にここなら黒煙を上げるSLを見る事が出来るに違いない!
と、勝手に予想して道路の脇で待機する事にした。

柱にもたれかかる様にして道路の脇に隠れる様に待機していたのだが
横を通り過ぎる車の中からみんなが私をチラリと見て行くではないか。
「SLが通るのを待ってるのかな?」「もしかしてもうすぐSLが通るのかな?」
みんなの目がそう言っているようだった。

すると1、2台の車が道路脇に車を停めて中から家族連れが降りてきた。
すぐに私の周りは人だかりに。
ああ、静かに撮りたかったのに・・・。

ギャラリーが増えてしまった事によりさらに目立つようになってしまった。

しかも、オジサンが更に前でSLを見ようと他所様の敷地内に勝手に入り込んで行く有様。
アマチュアカメラマンのマナーの悪さが取りざたされる今、ちょっとやめて欲しかったな・・・。




その時。
遠くで汽笛の音が!!
山間の津和野の町中に轟く大音響。すごい迫力。
聞いた事は無いけれど遠くで恐竜が吠えているみたいだった。

同時に津和野駅付近に大きな黒煙が見えた。

SLやまぐち号


SLやまぐち号が出発したのだ。
もう少しで目の前にやって来る。


とたんにちゃんと写真に撮れるかどうか不安になった。
よくよく考えてみればいつも城や花など動かないものばかり写真に撮っている私。
SLなんて撮れるんだろうか??
しかも目の前をSLが通るのはほんの一瞬の出来事に違いない。

露出合わせに試し撮りしてみたが、
SLの黒い車体をちゃんと黒く撮る事が出来るんだろうか??

全てが不安になってきた。




「来たよ!!」

ぐるぐる考えていた時、見物客の一人が叫んだ。

慌ててファインダーを覗くと目の前にカーブを曲がりながら坂道を上って来るSLが見えた。
もうこうなったら一枚くらいはちゃんと撮れています様にと神様に祈りながら撮るしかない。

連写機能がある事も忘れ、手押しで夢中でシャッタをきった。

SLやまぐち号

SL山口
(再度登場)







そして・・・・
本当に驚く程一瞬でSLは目の前を通り過ぎて行ってしまった。

SLやまぐち号
SLやまぐち号



凄い迫力。
圧倒された。


みんなSLの中から手を振っていたし、周りにいた見物客のみんなも手を振替していたけれど
私は呆然としてしまった。
燃え尽きた感じ。


しかし走るSLは本当にカッコいい。
公園等に展示してあるSLとはもう全く別のモノである。

ああ、こうして人はSLの虜になっていくのかもしれない。
そう実感した秋の一日だった。