コンプレッサーについて 動作方式など その1 | ordinary days

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どうも、コンプ大好き僕です。
コンプの記事ばかり書いてますが、知れば知るほど奥が深いのです。
今日はコンプレッサーの動作原理や、作動方式などの違いに観点を当ててみようと思います。
ネット上をかなり調べてみたのですが、中々詳しくまとめてあるサイトがなかったので自分の備忘録としても…

さてさて、一口にコンプレッサーと言っても様々な種類があるのは皆さん承知の上だと思います。
レコーディングやSR用、ギターやベースのコンパクトエフェクター、はたまたプラグイン等、用途も様々でシーンによって得意不得意があります。
コンプといえば、ある音量に達した音をGR(ゲインリダクション)させるエフェクターですが、このGR方式にもいくつか種類があるのです。
例えば、

1.光学式(Optical) - LA-2A,LA-3A,tube-tech等
2.VCA - SSL,dbx,SummitAudio等
3.FET - 1176,ToftAudio ATC
4.真空管(Tube) - fairchild660,670


の4種類がありますが、世の中のコンプレッサーの殆どがこれに当てはまります。
この中からもっと細かく分けると、

1.オペアンプ等のIC回路を使ったもの
2.フルディスクリート構成のもの(コンデンサ、ダイオード(2極真空管)、トランジスタ(FET)、サイリスタ、抵抗、LED(発光ダイオード)&フォトセル(又はフォトレジスタ)等の単体部品で構成)


に分けられ、さらに、フルディスクリート構成の中でも、

1.増幅にTubeを使った物
2.増幅にトランジスタを使った物


があり、わけが分からなくなってきます。
さすがに全てのコンプを網羅することは厳しいので、有名なものだけをピックアップして分析してみました。

まずは1.光学式のものから見ていきます。
光学式は、LED(発光ダイオード)とフォトセルの組み合わせで成り立ちます。
入力された信号の強さをLEDの光に変換し、受光体であるフォトセルがその光の強さによって電気抵抗を変えてやる、といった感じです。
LA-2A,LA-3A,tube-tech等がこの方式ですが、光学式特有のマイルド(悪く言うとアバウト)なかかり具合と、音が訛る感じが特徴です。
さっぱりしすぎなソースをちょっとクセのある感じにしたいなって時に向いています。
LA-2ATube-Techのものは増幅に真空管を使用しているので、真空管独特の粘りも感じられます。
LA-3ALA-2Aの真空管部分をトランジスタ(ICかも)に置き換えコストダウンをはかったものですが、
アタックタイムが早く、リミッター的な使い方もでき、ギターやストリングスなどにかけると気持ちの良い音圧感が得られます。
設計もコンパクトに収めることができ、電力もそれほど消費しないので、ギターのコンパクトエフェクターにも割と良く使われたりします。
ただ、特性上アタック・リリースタイムの設定に制約があり、CDS素子(フォトセル)の特性にばらつきが多くステレオ用途だと定位が不安定、CDS素子の製造中止による部品調達が困難、などの理由から現在ではあまり製造されていないようです。

次は2.VCAにいってみましょう。
VCAは抵抗、コンデンサ、オペアンプ等のICチップから構成されていて、電気的に信号を処理する為、
レスポンスの早い、クリーンで素直な出音が特徴です。
SSLdbx社がこの方式です。
回路的に色々応用が利き、S/Nに優れ歪みも少なく幅広いダイナミックレンジを制御可能、と良い事尽くめなのですが、
機械的な音になりがちなので、歌やメロディ系だと他の方式のほうが個人的には好きです。
もちろんケースバイケースですが…

次は3.FETです。
FETは電界効果トランジスタの略で、抵抗器による電流の制御ではなく、入力された電圧によって電流を制御してやろうというものです。
誰もが知っているUniversalAuidoの1176がこの方式で、とてもレスポンスの早い反応が特徴です。
この機種は入出力部にトランスも搭載しており、独特の色が付加されるのと、各パラメータの設定がシビアに反応するので、録音時にヘタにかけると取り返しのつかないダメな音になります。

最後は4.真空管
この方式のものはFairchildの670及び660しか採用されていない(と思う)のですが、他にあったら是非教えて頂きたい!
これらは1950年代に製造されたもので、トランジスタやIC回路等の半導体を一切使わず真空管増幅回路のみで構成され、
「可変ミュー方式」という、ゲインをダイナミックに変更出来る特殊な形式の真空管を使用しています。
14台のトランスと20個の真空管を搭載というモンスターマシンですが、サイズや重量も半端ではなく、
一台で6U分のスペースを有し、重量も約30kg、状態の良いもので300万円ぐらいする、
という圧倒的な存在感です。
実機は触ったことがなく、シミュレートプラグインをいくつか使ってみたのですが、どれも男気溢れるワイルドな出音です。

と、割と駆け足で説明しましたが、その2では回路図やブロックダイアグラム等を見ながらもう少し掘り下げていこうと思っていますので、興味がある方は是非!

その2へ