窓のこっちでもっともっとキミを大好きでいたいんだ | 消しゴム君

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寫眞と物語と言葉

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《 窓のこっちでもっともっとキミを大好きでいたいんだ 》


ボクはあと少ししたら
そう、
窓の向こうの陽射しが
あと数回まぼたきしたら
ボクは消えてなくなってしまう

大好きなキミと
大切な仲間たちを残して
ボクは消えてなくなってしまう

その時ボクは
きっと
泣くと思う

キミとサヨナラしたくなくて
ずっと一緒に居たくて
ボクは泣くと思う

キミをもっと笑わせたかったって
キミの笑顔をもっと見ていたかったって
キミをもっと抱きしめたかったって
愛してるよってもっと言いたかったって

顔をクシャクシャにして
きっと
泣くと思う

そんなボクを見て
「まるで赤ちゃんみたい」って 
クスクス笑いながら
そしてキミも
きっと
泣くと思う

でもね
窓の陽射しがボクの背中をさすりながら
耳元でこう囁くんだ

「もうそろそろ時間だよ」って。

するとボクの身体は眩しい光の帯になって窓の向こうに帰ってゆくんだ

でもキミは光になったボクが見えないから、ベットの横でボクの手をずっと握り締めながら肩震わせて泣きじゃくっているだけで

そんなキミを
ボクは窓辺で
なぜかとっても静かな気持ちで見つめながら

そして
こう言うんだ
必ず言うんだ

「愛しているよ。
   ずっと愛している。」

って。

その、
涙で霞んで声にならないボクの声は、でも必ずキミに届いて、キミは窓の辺りを見渡してボクを探すんだけど、でもキミはボクを見つけられなくて

「ここだよ!
    ボクはここに居るよ!」って

大声で必死に叫ぶんだけど
やっぱりキミには聴こえなくて
見えなくて

やがて
陽射しになったボクは
窓の向こうの青くて透明な大気に
すこしづつ溶けていって

静かに
音もなく消えるんだ

こうしてボクはあと少ししたら
そう、
窓の向こうの陽射しが
あと数回まぼたきしたら消えてなくなってしまうから

窓のこっちにいる今は
キミをもっともっと愛して
もっともっと抱きしめて
もっともっと大好きでいたいんだ