~ 自然風景写真 ~

ー 阿蘇の秋景 -

 

 

 

 

 

ー 親 父 -

 

親父が事情あって四年間の浪人生活を余儀なくされていた頃の話

我が田舎の農協(現:JA)が倒産の危機に陥り

関係者が連日 我家を訪れ

親父に組合長就任を要請していました

親父は翌年の職場復帰のこともあり固辞し続けていたのですが

一年間という条件付きで渋々引き受ける羽目になりました

 

親父は就任早々に職員の給与引き上げを断行しました

かねて職員の皆さんが羨んでいた

隣にある役場の水準に合わせることを考慮したようです

倒産寸前なのに大丈夫なのかな?と

私は子供心に心配していました

 

或る日の夕食時、親父が からいもね

俺は仕事をしろとか もっと働けとか言ったことは一度も無いのに

最近、みんな目の色を変えて朝から晩まで

一生懸命働くんだよ と話したのを記憶しています

 

その後、業績は急速に回復し一年後、農協はめでたく黒字に転換

親父は約束通り退職したのですが

人の力(労働力)の凄さ、それも押し付けられたものではなく

内発力による強さを まざまざと見せつけられた一年でした

 

経営者は労働力を搾取することだけが能ではない

相応の対価を支払うことの重要さ

そして、そのことにより好循環が生まれることもある

ということを知り得た事例でした