このところ自分自身の邦楽器作品の紹介を続けてきました。
昨日からは、近年の初演されたばかりの新しい作品を紹介しています。
2020年2月23日に開催された、洗足学園音楽大学
現代邦楽コース&現代邦楽研究所による〖第10回 邦楽定期演奏会〗で、
下記の作品の初演(新ヴァージョン初演)を、私自身の指揮で行いました。
先ず、その原曲となる作品をご紹介します。
###PHONOSPHERE Ⅳ-a
~二十絃箏と管弦楽の為に(2010)###
マークアートフォーラム委嘱作品
演奏時間:約16分
初演:2010年3月/杉並公会堂 大ホール
日本現代音楽教会 《現代の音楽展2010》
第4夜〘コンチェルトの夕べ〙
演奏:指揮=山下一史 二十絃箏=吉村七重
管弦楽:桐朋学園音楽大学オーケストラ
2009年度は、二十絃箏誕生から40周年の節目と年でした。
現在の二十絃箏のトップリーダーである吉村七重さんとの
協働プロジェクトとして、私はこの年度に二つの大作=
二十絃箏を主人公とした協奏曲作品を、発表することができました。
その一つがこの作品です。
(もう1曲は、[糸の書~二十絃箏と邦楽器群の為の協奏曲]
(日本音楽集団委嘱作品)です。)
オーケストラのサイズは通常の二管編成ですが、
弦楽器を左右二群に対称配置に分割して、
その後ろに木管楽器群と金管楽器群を陣取り、
ハープが二十絃箏の影のように舞台奥で振る舞い、
打楽器を舞台下手(左)・舞台中央(奥)・舞台上手(右)
に配して、それらが舞台最前列中央(指揮者横)の
二十絃箏独奏を中心に音響の多重構造を生成していくという、
正にphono(音)+sphere(空間)という曲になっています。
(第10回邦楽定期演奏会のチラシ)
この作品の、独奏パート=二十絃箏独奏を、
箏(十三絃)と十七絃箏の二重奏に再構築して、
オーケストラパートは従来のままという、
新しいヴァージョンを作成して初演したという訳です。
邦楽定期演奏会の第10回という節目ということと、
電子オルガンコースとのコラボレーションの要請にも応えて、
オーケストラの弦楽器と管楽器の部分を電子オルガンで演奏して、打楽器とハープ、
そして独奏パートは生楽器という演奏編成で
"PHONOSPHERE Ⅳ-a"再演を計画することにした訳です。
箏と十七絃の二重奏は、野澤佐保子さんと吉原佐知子さん
に演奏していただき、見事な演奏で飾っていただきました。