大学3年の秋。
私は、当時お付き合いしていた彼女と
青森市内でデートしていました。
夜…夕食と呼ぶにはもう遅い午後10時近くに、
青森市内でも特に天麩羅が美味しいと評判の
某料理店「S」に入りました。
落ち着いた雰囲気のそこは…もしかすると、
二十歳そこそこの若い男女が入るような
軽い店ではなかったかもしれません。
窓際のテーブル席には
大きな箱形の水槽がズラリと並び、
いろんな種類の魚が入りまじり、
元気よく泳いでいました。
ちょっとアダルトな雰囲気が漂うその店で、
私たちはその、水槽が並ぶテーブル席の
いちばん端に座りました。
入店時間がかなり遅かったため、
私たち以外のお客さんはいなかったと
うっすらとですが記憶しています。
私はそれまでにも何度か行っていたので、
「いつもの」と言わんばかりに
「天麩羅定食」を注文しました。
彼女も私に倣い、同じものを注文しました。
やがて、注文した「天麩羅定食」が
二人分同時に運ばれてきて、
私たちは同時に食べ始めました。
何種類もの具材の天麩羅が
大皿に山盛りとなっている中で、
私は「エビ天」がいちばん好きでした。
野菜天麩羅や魚系の天麩羅をオカズに
少しずつ白飯を減らし、
最後はエビ天のみで贅沢に食べる。
当時の私の食べ方のスタイルでした。
彼女と食事中の会話もそこそこに、
天麩羅と白飯もある程度食べ進み、
あとは大好きなエビ天を残すのみとなった…
次の瞬間。
「…ん!?」
「あれっ!!」
1994年10月4日午後10時22分。
北海道東方沖地震発生。
青森市、震度4。
箱形の水槽の水が大きく波を打ち、
残していた大好きなエビ天めがけて
水が容赦も遠慮もなく降り注ぐ光景。
その時私は、
自身や彼女の安全を考えるよりも、
無防備に水浴びしている大好きなエビ天に
視線がロックオンされていました。
…やがて大きな揺れが治まり、
変わり果てた姿となった大好きなエビ天を
ただボー然と眺める私の傍に
一人の女性店員が駆け寄り、言いました。
「大丈夫でしたか?
…あらー、濡れちゃいましたね!
大変申し訳ございません!
今すぐ同じものを用意しますので、
しばらくお待ちください。
お代は一食分でいいですから!」
そして…、
私に食べられることなく
水浸しになった大好きなエビ天は
女性店員によってさっさと下げられ…、
約10分後、
さっきのと全く同じ新しい「天麩羅定食」が
再び私の目の前に姿を現しました。
嗚呼…大好きなエビ天ちゃん…。
先に食べてあげてれば、
もう一度食べてあげられたのに…。
こんなことになるなら、
野菜天とかチマチマ食ってないで
大好きなエビ天を先に食べてあげればよかった!
ブログネタ:好物は先に食べる?後に残す?
参加中
私は先 派!
その日以降、私は
好きなものは先に食べるようになりました。
