水の味の違い、わかりますか?



おそらく、「わからない」と答える人が多数派だと思います。

僕もそうでした。

「亀の水」を飲む前までは。



亀の水とは





 「亀の水」とは、兵庫県明石市にて採取できる湧き水です。

記録には江戸時代、一説によれば平安時代から湧き出る由緒正しい名水なのだそうです。



 僕の大和郡山の自宅から明石市まではちょうど100km。

往復200kmまでならなんとか各駅停車な僕の足でも日帰りができる距離です。

今回はこの音に聞こえた名水、「亀の水」を求めて、ペダルを回したいと思います。





スタート! 大和郡山市→大阪市





 金魚の名産地、我が大和郡山市から大阪方面へ出る道にはいくつか選択肢があります。

しかし、“自転車で”となるとそうではありません。


日本でもトップクラスの斜度を誇る「暗峠」を迂回するため、国道25号線を走るというルートが一般的でしょう。


この国道25号線という道は、何度も車や自転車で通ったことがあり、よく使う道でありながらも思い出の道になりつつあります。


一度通るたびにその時の僕の感情が道に塗り込まれていくような錯覚を覚えます。


十年以上の歳月をかけて、何度も何度も様々な喜怒哀楽を塗り込んだ道を走っていると、昔その道をどんな気持ちで走っていたのかがフラッシュバックします。


彼女にセックスのお預けをくらった時のモンモンとした気持ちまでもフラッシュバックしてしまうのはバツが悪いですが、何年も前の出来事を臨場感たっぷりに追体験している気分は何とも言えない快感でもあります。



自分が体を預けているこの自転車が、タイムマシンにでもなったような、そんな不思議な気持ちになれる道。


それが僕にとっての国道25号線です。













 思い出を塗りたくった国道25号線にまた新たな色を塗った後は、特に思い入れのない大阪を走ります。

都会を走るのは苦手なので、さっさと通過しようと下ハンドルをがっしり握ったその時、靭公園の紅葉が目に飛び込んできました。






嫌いだからと決めつけてかっ飛ばすと、いい景色も見えなくなってしまうということを再認識しました。

たまには苦手な場所も各駅停車で走ることにしようと決意しました。

まぁ、たまに、ですけども。



なにわ筋を北上し、国道2号線に入ります。





人工的な直線の景色が増えていき、ペダルも心なしか重たく感じます。

しかし、名水を手に入れるための試練だと割り切り、がっつりと下ハンドルを握りしめて向かい風を切り裂いていこうと思います。



続く。