隙間です

あのときの 言葉

ひとつ ひとつが

僕には もう 耐え切れないんだ

隙間より


心の隙間

              霧のヴェール

ボートに寝転びながら 眩しい月の光をまっすぐに体を照らされ 

薄眼をあけ ただ 真上の夜空を見てた

山の上からの流れる冷たい風 共に身を流されるまま 

ゆったりと葉っぱのように僕は霧の中の湖に浮かんでいる

遠く山の向こうでは町の優しい灯りがぼんやりと見え 

近くの湖畔ではカエルの歌声がささやかに聞こえる

東京の雑踏から過去を沈めにここに着た それは まぎれもなく自分自身も 

この吸い込まれそうな湖に身を沈めようと

ただ何も怖くないのだ ここは何も聞こえない 何も人の壁もない

そして希望という自由が見えるのだ

たったひとつの事を信じて 今までやってきた  

たったひとつの事を追い求めて 今までやってきた

うねるような激しい心のヴェール  紙キレのような風で柱が折れそうな心のヴェール

少し静かにさせてくれないか  もうだれも助けなんて いらない 

もう少しだけ時間を僕にくれないか





水辺の上で目をつむりながら 森のざわめきをこの耳で感じ 

湖に映る揺れている星を ただ 眺めていた

太陽の光と共に動きだす動物達 眩しい光を肌で感じながら 

空っぽになった僕は朝を待っているだけだった

霧の中をさ迷いながら 先が見えない 何かを探している  

ボートの横では小さな子魚が僕に笑顔を見せている

星の光で丸裸にされ ここでは嘘がつけない 

それは まぎれもなく 自分自身の弱さだと胸にもう一度 投げかけた

ただみんな僕の味方なのだ ここは何も差別もない 

そして 希望という未来が見えるのだ

たったひとつの事を信じて この目で現実を見てきた  

たったひとつの事を求めて 僕は真実を見てきた

揺れ動く弱い心のヴェール  立ちはだかる燃え上がる心のヴェール 

少し静かにさせてくれないか もうだれも助けなんて いらない 

もう少しで僕の秒針が動き始めるのだから


詩:隙間

隙間です

いつのまにか

君を好きになり

いつからか

君を愛していた

いつのまにか

........

隙間より

心の隙間

           くちづけ

眠りたかったのだろう  静かに眠りたかったのだろう

空調の音だけが耳に聞こえる だれもいない最終の大阪行きの新幹線

手と手を触れ合いながら 僕らは同じ”過去”を運んでいた

なぜか ふたりとも 窓に見える流れる夜の景色は眼で見ようとしなかった

あまりにも 言葉に追いつめられ 胸の中のカラータイマーが鳴る寸前だった

昔 童話で読んだ 眠り姫のような 君の寝顔が優しすぎて 涙が溢れた 

ずっと ずっと 僕がそばにいるから もっと もっと 君を受け止めるから

そして 安らぎを求めるために 君に本当のくちづけをした




泣きたかったのだろう  おもいっきり 泣きたかったのだろう

タバコの自動販売機の前で 黒いベレー帽のうつむいた君

過去と過去が残酷すぎて 僕らは ”理由”もなく 繋がりあった

信じれば 信じるほど 哀しくなり どうしても 人に流されるまま人生だった 

自分の想っていたことと 裏腹に ”言葉”だけが ひとり歩きをしていた

平日の上野公園で撮った 僕らの未来の影 空が祝福してるようで 笑顔が零れた

ずっと ずっと 僕がそばにいるから もっと もっと 君を受け止めるから

そして 人生の空白を 改めるために また 二人は 手をつなぎ始めた



詩:隙間