隙間ですしっぽフリフリ

昨日から 今 さっきまで

あらゆる交差点で サンタクロースを見た目

煙を吐きながら 変な3輪車が 目の前を通り過ぎた

てんてんと 明かりが点く 温かい家庭が とても 羨ましく思えた

なにも鳴らない携帯を確かめながら

ずっと 空を見てた

隙間よりしっぽフリフリ

心の隙間

           YOU
 
君の小さな鼓動が聞こえるよ ほらぁ よく聞こえるよぉ

風船のように膨らんだお腹に優しく手を置き

耳をあて 目を瞑り 未来の音を二人で聴いていたね

初冬のマンションの中で エイグルのニットを着たまま

ソファに静かに座ってたキミ  何もかもが幸せを感じていた

不慣れに早まって買ってしまった 子供のシューズ

鼓膜に伝わる君の情景が僕らには ささやかな 普通の幸せだった

ただ それだけでいい ただ それだけでいいの

君の泣き声が聞きたかった  そう だれよりも僕は聞きたかったよ





君の生きた意味は誰もが解っているはずだよ そうだよ 素晴らしかったよ

カラスの鳴き声がどこからか聞こえ 時計のない 時間が過ぎている

僕は独り 1日1便しか発車しない田舎の寂しいバスに乗っていた

運転席の後ろでは まだ若いママが生まれて間もない赤ちゃんを嬉しそうに抱いている

でも 泣き叫ぶ声が不覚にも胸に突き刺さって 僕は寒くもないのに震えていた

黒い煙をはきながら山道を登るバス でもバスの中には大きな幸せが そこにあった

山の頂上から下りてくる風の音が聞こえる度に体の細胞がうごめいていた。

ただ それだけでいい ただ それだけでいいの

君の泣き声が聞きたかった そう だれよりも僕は聞きたかったよ



詩:隙間