隙間ですしっぽフリフリ

歩きたくて

1日中 都心を歩いていた

少し汗をかきながら

子供の頃の自分を探していた

もっと もっと 自分を問い詰めたくて

空には シナモンのドーナツように 白く渦をまいた飛行機雲が見えた

千駄ヶ谷の付近の路地で、子猫とチョーク遊びをしている男の子

公園では ブランコでゆらゆらと遊んでいる お母さんと子供

そのいろんな風景を見るたびに

僕は なぜか 泣いていた

泣き虫な 僕

頬に涙が流れ落ち あごのところがかゆかった

真っ赤な目の僕は ずっと歩いていた

隙間より

true

                コオロギ

最終電車の明かりをぼんやりと見ている 曇った時計が午前12時過ぎをさしていた

駅長もだれもいない 古びた駅で 僕は秋空の中で棒のように突っ立てる

どこに行こうかも 決めてなく あてもなく 一人で自分の弱さを感じていたよ

両手をズボンのポケットに入れ 耳に聞こえてくる 軽やかな澄んだ音がそこにあった

なぜか悲しくて なぜか寂しかったよ なぜかコオロギのように全身で鳴いていた

だれかに気づいてほしくて 誰よりも 愛されたくて

胸の中で響いています ずっと ずっと 僕の中で響いています



ホームの蛍光灯が眩しくて目覚めている 腐れたかけたのキシム椅子で寝ていた

新製品も並んでない 売れてない自動販売機で 僕はぬるい缶コーヒーで朝を迎える

客もいない まだまだ夜が明けそうもないホームで どうしてか ずっしりと寝られたよ 

空腹の腹に一気に流しこみ 雑音が苦しくても まだコオロギは淑やかなに鳴いていた

なぜか重くて なぜか 不安だったよ なぜかコオロギのように全身で鳴いていた

だれかに気づいてほしくて 誰よりも愛されたくて

胸の中で響いています ずっと ずっと 命 果てるまで響いています

詩:隙間