
コオロギ
最終電車の明かりをぼんやりと見ている 曇った時計が午前12時過ぎをさしていた
駅長もだれもいない 古びた駅で 僕は秋空の中で棒のように突っ立てる
どこに行こうかも 決めてなく あてもなく 一人で自分の弱さを感じていたよ
両手をズボンのポケットに入れ 耳に聞こえてくる 軽やかな澄んだ音がそこにあった
なぜか悲しくて なぜか寂しかったよ なぜかコオロギのように全身で鳴いていた
だれかに気づいてほしくて 誰よりも 愛されたくて
胸の中で響いています ずっと ずっと 僕の中で響いています
ホームの蛍光灯が眩しくて目覚めている 腐れたかけたのキシム椅子で寝ていた
新製品も並んでない 売れてない自動販売機で 僕はぬるい缶コーヒーで朝を迎える
客もいない まだまだ夜が明けそうもないホームで どうしてか ずっしりと寝られたよ
空腹の腹に一気に流しこみ 雑音が苦しくても まだコオロギは淑やかなに鳴いていた
なぜか重くて なぜか 不安だったよ なぜかコオロギのように全身で鳴いていた
だれかに気づいてほしくて 誰よりも愛されたくて
胸の中で響いています ずっと ずっと 命 果てるまで響いています
詩:隙間


予防することはできないよね












