少年の家が貧しくなり始めた頃のことだった・・・
少年は中学生だった・・・
相変わらず
家に明かりはつけられない
食事も日に日に質素になっていた頃・・・
事件は突然起きた・・・
夜
明かりのつけられない
静かな家に突然音が鳴り響く・・・
電話だ・・・
少年は電話に出ようとした
すると
母が走ってきて
少年に
電話に出なくていいと言った
母の表情はいつもと違っていた・・・
少年は電話に出なかった
少年はどうして出たらダメなのか
その時点では何も
分からなかった
その電話の後からというもの
毎日
電話は延々となり続けていた
そんなある日
少年以外誰もいない時に
電話が鳴った・・・
少年は深くものを考えられない子だった・・・
そして
おもむろに
少年は電話に出てみた・・・
すると
突然の怒鳴り声・・・
少年は驚いた・・・
電話の主は
もの凄い勢いでがなってる
少年はどうしていいか分からず
受話器を持ったまま
立ちつくしていた・・・
母が帰宅し
立ちつくす少年をみると
すぐに受話器を取り上げて
電話を切った・・・
兄弟から聞いた
毎日電話を掛け続けてくるのは
サラ金の取立てだと・・・
うちが電話に出ないから相当怒っているのだと・・・
少年は現実を知った・・
その時
自分達の置かれている
環境を理解した
こんなことはテレビの中の世界だけだろうと
思っていた・・・
しかし
違った・・・
少年の一家に起こっている現実だった
その夜
少年は
恐怖で眠ることが出来なかった
そして
それから電話に出ないようにしていたが・・・
電話は延々と鳴り続けていた
ある夜
みんなで食事をしているときに
また電話が・・・
暗黙の了解で家族は無視していた・・・
その時
母が動いた・・・
無言のまま
電話線を切ったのだ・・・
少年は
少し
安堵感に包まれた気分になった
その日から
鳴り止まない電話から開放されると思ったのだ・・・
だが新しい電話をつけないわけにはいかなかった
しばらくして
新しい電話がきた
少年は恐怖だった
サラ金の恐怖・・・
そして
茨城県を去るまで
サラ金からの電話から開放されることはなかった・・・
少年が大人になった今も
どうしても忘れることが
できない事件・・・
それが
この電話線切断事件だ・・・
今もなお
暗がりの中
電話が鳴ると
恐怖を感じるという・・・・
番外編
完