さて、今日は妊娠した後、出産に向けての話をしたいと思います。
出産に関して、昔「出産に関しては、半分でも予測がつけば、いいほうだ」とおっしゃっていた産科の先生がいらっしゃいました。
出産というのは、昨日まで順調であっても、多くの予測ができないことが起こります。
多くの人は順調に出産を迎えますが、ある日突然、その順調が終わりを迎える人も少なくはありません。
妊娠して出産することは病気ではありません。しかし、病気ではないから何事もなく、順調な出産が自分に訪れると、皆様どこかで思っている人も、ある日突然それが崩れることがあることを知っていただければと思い、今回以下のことをちまちまご紹介していければと思います。
たとえば、帝王切開。
現在、非常に件数が増えていて、5人に1人が帝王切開だといわれています。しかし、パパママ学級などでも触れられることもなく、数日前や当日、手術が決まってからはじめて、帝王切開について調べ始める人も多いのではないでしょうか。
また、早産の子供も増加してきており(全体の出産の約10%)、どういったリスクがあり、経過をたどっていくのか、や切迫早産や安定期に入ってからの海外旅行についてなどを意外と知らない?けれど身近なトピックを取り上げていこうかなと思っています。
今回は、第一弾の入り口として、初期の妊娠リスクスコアという1つの出産のリスクをはかる指標についてご紹介したいと思います。
≪ 初期 妊娠リスクスコアとは ≫
これから紹介する、妊娠リスクスコアはどういった使い方をすればいいのでしょうか?
評価された点数をもとに、主治医の先生と相談しながら、ご自身の妊娠中の健康管理や、母子に適した分娩施設を選ぶときの大まかな目安となるスコアです。妊娠リスクスコアを用いることにより、分娩時の帝王切開などの医療介入が必要になる危険性をある程度、予想できると考えられています。
分娩施設を選ぶ際のポイントはぜひ、過去の記事
をご覧ください。
≪ 初期 妊娠リスクスコアの自己採点方法について ≫
妊娠が判明した時に、一度計算してほしいのが妊娠初期のリスクスコアです。
上の表は、簡単にリスクスコアをまとめたものになります。
(ない項目もありますので、よろしければ、こちらで自動計算できますので、ご活用ください。)
結果の見方としては、
0~1点:現在のところ、大きなリスクなし
2~3点:ハイリスク妊娠に対応可能な病院と密接に連携してい
る施設での妊婦健診、分娩の考慮が必要
4点以上:ハイリスク妊娠に対応可能な妊婦健診、分娩の必要性
を主治医と要検討
となっています。
この時に、注意してほしいのは、
40歳以上(5点)
35~39歳(1点)
初産婦(1点)
体外受精(2点)←これもリスクになります
排卵誘発剤の注射(1点)
など、こまごましたものを足すと、あっという間にハイリスクとされる4点をこえてしまいます。
≪ 4点をこえるとどういったリスクがあるのか? ≫
4点をこえるハイリスクはどういったリスクがあるのかということですが、分娩時の帝王切開や吸引・鉗子分娩などの医療介入の可能性が非常に高くなり、特に、緊急の帝王切開が増加します。
そうしたことより、4点をこえる人たちは、どういった分娩施設をご自身が選びたいかも大切ではありますが、母子ともに安全な出産を行うには、ハイリスク分娩に対応している分娩施設を選ぶ必要が高くなります。
また、詳しくそのリスクを見ていくと、初診時の妊娠リスクスコアが 4 点以上あると、0~1点の人たちと比べて、
・帝王切開率が約4~5倍
・2500g未満の低出生体重児が約4.7倍
・NICU入院率が約3倍
・早産率の増加
がみられるという研究データが発表されています。
これから書いていく、帝王切開だったり、切迫早産、早産児についてなどの記事は、皆様に分娩の怖さを植え付けるためではありません。ただ、こうしたリスクが色々な方にあり、体外受精や不妊治療をした方というのはどうしてもそのリスクが上がってしまいます。
万が一、そうしたことになった時に、少しでも書いた記事が皆様のお役に立てればと思います。