“脳を錯覚”させれば感触も伝わる

もう一方で開発が進むのが、VR上で物の感触を再現するハプティクス技術(触力覚技術)だ。グローブ型デバイス等を用いて、物の表面の質感、固さ、重さや振動などを体で感じるものだ。

このハプティクス技術はさらに進化を遂げ、“脳を錯覚させる”技術も登場している。実際に振動を体で感じるのではなく、特殊な歪みを付けた振動を脳に伝えることで、“実際に物体を触った”ように脳に錯覚させるというのだ。 片手で持てるサイズのデバイスからユーザーの脳に特殊な振動を送り、例えば小石を持ち上げた感触や、腕全体をひっぱられるような感触、物体表面のザラザラやツルツルといった質感、物体の固さなどを脳で感じることができる。

実際に振動を感じる方式では比較的デバイスが大きく重量のあるものになりがちだが、脳に錯覚させる方式では多彩な体験が小さなデバイスのみでできるというメリットもある。今後は、自動車等の運転や外科手術のトレーニングへの活用が検討されており、VR上でのシミュレーションに感触をプラスすることで、より精度の高いトレーニングが可能になるというわけだ。