時は11時。
携帯が鳴り響く。
(こんな時間に誰だ)
画面には「部長」と表示されていた。
フゥッと一息、僕は電話を取った。


第一話 やる気


「最近どう」
定番の決まり文句で会話は始まった。

「部長」は高校の時、僕が入部していた生物部の部長だ。女性でありながらオタク系生物部員10人を引っ張っていた。当時からキャリアウーマンの素質は十分であった。

「元気やで。」
定番の返しだ。
一瞬の静寂が怪しげに二人を包み込む。
会話はしていないが、お互い電話の意味を理解した。