Ameba Blog のヘンな条文は最初に紹介した通りだが、他のプロバイダが提供しているいわゆるホームページ系のサービスでも、著作権に関する扱いは奇妙な条文があることが多い。

livedoor blog が規約を変更して著作権の扱いを変えるというので、大騒ぎになっている。というか、もうそろそろ落ち着いたかもしれない。傍観していると、どうもライブドア側が著作権のことをまじめに理解しようとしていないような気がする。まさか素人が規約を作っている訳はないと思うが、どうも妙な流れになっているのだ。

ライブドアの失敗は、11月12日に規約を修正したときに、ライブドア社に対してブログ利用者が著作権を行使しないという条件を追加したことから始まる。だったら他のブログに行く、という人が続出した訳だ。

これはまずいと思ったのか、さらに16日にこの規約が修正された。こうなったのだ。

利用者が著作したウェブログとそれに付随するコメント及びトラックバックは当該ウェブログを著作した利用者に著作権が発生するものとします。宣伝、利用促進、出版等を目的としウェブログサービスの著作物を使用する場合、利用者は弊社に対し、当該著作物を著作権法の規定に基づき無償利用することを期間無制限で非独占的に許諾し、かつ弊社及び弊社の指定する者に対し著作者人格権を行使しないものとします。

そしてさらに「他に行く」という人が続出した罠。さて、どこがまずいか?

実は私は livedoor blog には連載小説を書こうと思っているのだが、この条文を文字通り解釈すると、ライブドア社はその内容を勝手に好きなように修正して、しかも作者を「ライブドア著」と表示して私に一銭も払わずに出版してもいいことになる

もっとも本当にそんなことがあったら、公序良俗に反する契約は無効ということで損害賠償を請求できそうな気がするが、もしかすると「電車男」のような本を本気で勝手に出すつもりなのだろうか? 電車男に関しては、著作権の問題は解決していないような気がするのだが、今後の動きを注目しておきたいネタの一つだ。

ライブドアに関しては、先のプロ野球の件ではうまく宣伝したようだが、この件では、どうもヘタなことをしているような気がする。例えば、この条文の最後に「弊社はその場合、弊社規定の使用料を利用者に支払うものとします」とでも書いてあったら、印象はガラリと違ってくるのだ。もちろん「弊社規定の使用料」というのが罠なのだが。

冗談はさておき、トラックバックをいくつか見た感じでは、前述のような勝手に出版できることへの批判の他に、コメントの著作権が「当該ウェブログを著作した利用者」に発生する、という所を批判しているものが多い。コメントはそれを書いた人の著作物なのに、勝手に著作権を主張できるのか、というのだ。

ただ、「当該ウェブログを著作した利用者」というのが、ブログの開設者だけを指しているのか、あるいはコメントの場合はコメントした人を意味するのか、私にはよく分からなかった。

私は、ココログというブログに書いた内容を、後で注釈を付けたりして別のサイトで公開している。バックナンバーを見れば分かるように、転載している内容は本文のみだ。コメントやトラックバックは、それを書いた人に著作権が発生しているため、勝手にコピーしたら著作権法違反で訴えられてしまうのだ。

もしコメントの著作権がコメントを書いた人ではなく私にあれば、コメントごと記事を全部コピーして注釈を付けることができる。そういう点では、ライブドアの規約は、もしコメントを書く人の同意が得られているのなら、便利かもしれない。

ただ、私がそのコメントを書く立場なら、そんな規約には同意しないし、そもそも、そういうルールのブログにはコメントを付けないと思う。まず空に近い文章でトラックバックを付けて、その後で本文を書くような工夫をするかもしれない。本文を書いてからトラックバックしない理由は、その順序だと本文の一部を吸い取られてしまうからである。

(つづく)