無印の家のこと | 飲・水・思・源・2

無印の家のこと

 

 無印良品とオリックス不動産が共同で分譲住宅の企画を開始しました。まずは千葉ニュータウン白井エリアにまずは22戸の戸建て分譲を販売するそうです。
http://www.muji.net/ie/lifestyle/project_shiroikomachi/

 そういえば先月、友人に「専門家から見て、無印の家ってどうなの?」と聞かれました。といっても無印の家は販売が開始された数年前に有楽町のモデルハウスを観に行ったことがある程度の知識しかなかったので、改めて調べてみました。

 

 

 現在無印良品の家シリーズは「木の家」(写真上)「窓の家」(写真中)「朝の家」(写真下)という3シリーズが開発されています。
 元々「木の家」の開発には建築家の難波和彦氏が関わられており、その構成や形態は難波氏の手掛ける「箱の家」シリーズの規格にそっくりという印象を受けていました。また「窓の家」は、建築家・隈研吾氏がデザイン監修されたものです。家のタイトル通り窓の部分は木製サッシが使用可能で、その部分のディテールに力が入っています。そして「朝の家」は、私は今回その存在を初めて知ったのですが、ミサワホームで「蔵の家」を設計した川本邦親氏が監修されているそうです。

 基本的にはすっきりとしたライフスタイルの思想の下、無印の家具の様に主張のないニュートラルな空間を持つ家です。そういう意味では誰が住むのか分からない規格住宅の典型とも言えますね。構造にはSE構法を採用し、仕様もコストパフォーマンスを考えると妥当な選択。家の形の自由度は低そうですが、郊外にゆったり目の土地があり無印的な感覚が合う人ならば、家を考えるときの選択肢の一つにはなるでしょう。
 

 

 ところでこの白井小町プロジェクトには、一つ共感する所があります。それは家(建物)のことではなく、建物と建物の配置の問題です。ここでは「ガーデンコモン」という提案で、これまで家の敷地の四周を区画してきた塀をなくし、隣接する家同士で共有する庭をつくろう、という考えです。
 実は6,7年程前に、私も某住宅メーカーから分譲地の計画依頼を受けた時に、「コモンガーデン」(笑)という名をつけた同じ様な提案をしたことがあります。非常に興味を持っては頂けたのですが、これまでにない提案だったため残念ながらお蔵入りしてしまいましたが。

 家を考える時には、住む人の生活や人生観を反映する内部空間を実現することは第一義に重要ですが、敷地の(建蔽率が60%なら)4割をしめる敷地の余白を庭として、第二のリビングとして、どう生活の中に組込むかということまで頭を巡らせると、生活の豊かさが広がります。勿論プライバシーの問題も考慮すべき問題ですから、どこを閉じてどこを開けば隣家ともっとも配慮し合って生活することが出来るのか、計画の中に予め盛り込んでおくことが重要ですね。