2022年11月の「Could a Large Language Model be Conscious?」という51分の講演でデイヴィッド・チャーマーズは、「AIが(魚のレベル程度の)意識を持つ確率は20%以上と発言しています。

 Chalmersは、意識の要件を明確にすべきだと指摘しています。そして意識の要件Xをいくつか列記しており、「biology」「sense and embodiment」「world model and self-model」「recurrent processing」「global workspace」「unified agency」その他としています。これら明記されたうち「biology」は生理的心理的現象としての意識を意味するものと思われますが、それ以外は機能的なものであり、「意識」と言えるものかどうかは疑問です。

  そして、「biology」としての意識に関しては、「highly contentious, permanent」として論争の結論は出ないものとしています。それ以外の機能的な要件として「意識」を定義すれば可能かもしれないとしているだけです。

ところで、Wikipediaでは次のように記載されています。チャーマーズのいう拡張された物理法則「精神物理法則」の解明が必要であるとの見解は私も同感です。

 

(Wikipedia引用)

物理学の拡張

 サンデータイムズ誌では「今年の最もすぐれていた科学書のひとつ」として"The Conscious Mind"(1995)を挙げている。 "The Conscious Mind"は物理学者の林一によって日本語に翻訳されている。(「意識する心」(2001))この本のなかでチャーマーズは、意識に関する全ての物事を"現在の物理学"の範囲内の現象として説明してしまおうとする還元主義的な方法は、うまくいかない、と力説している。これは別に生気論や神秘主義といった系統の主張ではなく、現代の物理学は拡張されるべきだと主張しているのである。

 つまり、マクスウェルがニュートン力学へ電荷と一揃いの方程式を加えて当時の物理学を拡張することで電気現象の説明に成功したように、内面的な心的体験(クオリアと呼ばれる)を、ひとつの実体(entity)として導入し、その振る舞いを記述する新しい法則を見つけることで意識の問題を解決すべきだとする。つまり意識体験を、質量やエネルギー、電荷、スピンなどと並ぶ、他の何かには還元されない、この世界の基礎的な性質(根本特性、Fundamental property)のひとつとして扱っていくべきだとする。そしてこの内面的な心的体験(クオリア)の振る舞いを記述する、探索すべき未知の自然法則のことを、チャーマーズは精神物理法則(Psychophysical law)と呼ぶ。

(Wikipedia引用 終わり)

 

しかし、精神物理法則が具体的にどういったものなのかについては、チャーマーズ自身は具体的な内容は明確にしていません。

 結局、上記の講演でもChalmersは、AIの意識は検証不能なものとして、あいまいにしています。その証拠に現在のLLMが意識を持っている可能性でさえ「ゼロ」ではなく10%未満としています。その上で、2032年ごろに「魚」のレベルの「consciousness」を20%以上として、いい加減な見積もりをしているだけであり、とても学問的な予測とは言えない代物です。