価値観とは、人がどのようなものを「価値がある」と考えるかの基準や基本的な信念のことです。何か選択肢があるときに、「どれがいいかな」と考える判断基準は価値観であるということができます。人は意識的または無意識的に価値判断をしています。意識的な価値観を持っていない人も、自分自身や家族、友達、社会、自然環境などに対して、それぞれの状況に応じて価値観を持ち、それに基づいて行動しているということができます。

価値観は、社会や文化の影響も受けて形成されていきます。人は社会的な存在であり、人々との交流や共同生活を通じて、自己を確立し、意見や価値観を形成していきます。また、教育や宗教、文化的背景、社会的地位なども、価値観に影響を与えます。ですから、大人になる重要な時期である思春期に学力や学歴を偏重する価値観にさらされたり、経済的な苦しさから「所詮は金次第」というような価値観が生まれたりすることは、子供たちにとっても社会的にとっても大きな問題です。

価値観は、その人の心理的安定や幸福感、社会的な調和や共存などにも大きな影響を与えます。ですから、正しい価値観をもつことは重要です。自分を正しく評価できる価値観を持つ必要があります。

「どれがいいかな」と考える判断基準は価値観であるならば、価値とは「よいこと(善)」一般だと言えます。アリストテレスは、「ニコマコス倫理学」で、人間の最高の善は「幸福」であると述べています。私たちは常に何かを求めていますが、求める対象の多くは手段でしかありません。すべての手段の究極の目的とは「幸福」なのです。幸福とは人それぞれで異なりますが、単なる個人的な快楽や享楽ではなく、人間らしさを実現する社会的なものでもあります。知性的で理性的であることによって、高次の能力を発揮し、自分や他の人々、そして社会をより良い方向に導くことです。したがって、幸福はこのようにすることによって得られるものであり、道徳的に正しい行動をとることがそのための必要条件であるとされます。ですから、道徳的な用語としての「善」も幸福と無関係ではありません。このようなアリストテレスの考え方は、今でも有用な指針となっています。

私は、価値観の基礎に人々の幸福を置くことが大切だと思います。国のため、経済の発展のため、民族のため、会社のため、家のため、神のためなどいろいろな価値観がありますが、その中心に人々を幸福にするためという価値観がなければ、本末転倒になってしまいます。