意識が身体、特に脳と神経系に宿っていることは、確かだと思います。「神経接続間の化学反応か量子の次元か」という質問に対する答えは難しいと思いますが、少なくとも化学反応に意識が宿るということはないでしょう。
「量子の次元か」という点に関しては、ペンローズとハメロフの量子脳理論などがありますが、そのメカニズムに関しては殆どわかっていませんし、微小管で量子過程が起こるとの仮説にも否定的な意見が多いようです。また、「量子力学的不確定性はRandomnessを与えるだけで、自由を与えない」という意見もあります。
しかし、世界が物理的法則のもとでの因果関係の連鎖ならば、自由意志が成立し得るためには、量子力学的不確定性が何らかの形で関与しているのではないかと、個人的には考えています。少なくとも、量子力学的不確定性は、未来の不確定性であることを示しており、自由意志を成立させる根拠を与えるものではないかと思っています。我々の自由意志や意識と、量子力学的不確定性とは、作用反作用の関係にあり、微妙なバランスの上で成り立っているもののように思われます。
量子乱数発生器が、熱狂するサッカー場などで、通常と異なる挙動を示すと言われますが、それが事実であるならば、人間の意識が量子の状態に、影響を及ぼしていることの証明のひとつとなるでしょう。このような人間の意識が量子の状態として成り立ち、意識と量子状態が作用し反作用することにより、意志が形成され、物理的信号に変換されて肉体の運動を引き起こすのではないでしょうか。
私たちの意識に次々に浮かぶ様々な心の動きは、自分で完全にコントロールすることはできませんが、一定の範囲内で、意識的に一つのことにある程度集中して考えることもできます。
自由意志を考えるときに、意識によって完全にコントロールできなければ、自由意志ではないとすることは誤りでしょう。我々の意識の働きは、我々が、日常において感じるままの在り方をしているのであって、それ以上でもそれ以下でもありません。自由意志は心の完全なコントロールの下にはあり得ないし、そうある必要もありません。複数の選択肢のある状況において、いずれの選択肢でも自分の意志で選択できれば自由意志があると言えるでしょう。