心の哲学においては、様々に定義された用語のオンパレードである。しかし、この問題は論理により証明できるアプリオリな問題なのであろうか。「トークン」という概念でだめなら「トロープ」、「スーパーヴィーニエンス」という概念を使えばうまくいくというものであろうか。
心的現象である意志が、肉体を動かす過程で、どのようなメカニズムが働いているのか、という問題は、究極的に科学の問題であり、実験を通じた事実の検証により証明されるものであり、論理では何も証明できない。せいぜい仮説を打ち立てることができるに過ぎない。
現在の心の哲学は、何を証明しようとして、論争しているのであろうか。
私には、心の哲学において最も重要な課題は、意志が物理的な原因となり得ることを解明し、自由意志の根拠を明らかにし、ひいては決定論の克服することのように思われるのだが。
量子の不確定性は、ラプラスの悪魔のような機械的な決定論が誤りであることを示すものである。そして、未来が決まっていないことこそ、自由意志が成立できる条件である。また、量子の不確定性は、不安定でランダムなものだから、安定した心の原因となりえないと考える人が多いが、そのような不安定さこそが、量子場で生み出される非常に微弱なエネルギ状態である心的現象や思考が、脳によって形成される量子場において、意志として量子論的な不確定性に影響を及ぼすことを可能にしているのではないか。
私個人の思い付きに過ぎないが、心的現象と物理現象との因果関係においては、脳という量子場の不確定性と確定化に意志が関与できるメカニズムが成立しているのではないかと想像している。それによって、決定論を科学的に回避することができるのではないだろうか。
そのような研究が進められることを期待している。