治部眞理、保江邦夫著「脳と心の量子論」によると、量子場脳理論の基本仮説は次のようなものである。
量子場脳理論では、脳の基本単位のイメージは、神経回路としてのニューロンが脳の基本単位なのではなく、細胞の内外に広がった量子場が基本単位を形成すると考える。そしてそのような量子場の1つが、水の電気双極子の量子論的な波動現象により脳の記憶を形成するコーティコン場であり、コーティコン場の波動を場の量子論の枠組みで捉えたものがコーティコン場の量子コーティコンである。そしてコーティコンとコーティコンを結びつける量子場が電磁場であるスチュワートン場であり、スチュワートン場の波動を場の量子論の枠組みで捉えたものがスチュワートン場の量子スチュワートンである。
宇宙を電子や光子が飛び交うように、脳内ではコーティコンとスチュワートンが飛び交うことによって、記憶や意識を形成する物理現象が現れる。電子と光子は互いに密接に関連しており、電子場の量子である電子は、電磁場中に波動(すなわち光子)を発生したり消滅させたりする。つまり量子電磁気学により、電子場の波動と電磁場の波動の相互作用を場の量子論の枠組みで捉えることができる。これと同様にコーティコンとスチュワートンが脳の中で飛び交い複雑に作用しあうことにより、脳の働きが形成されている。
「脳と心の量子論」には書かれていないが、私の解釈では、脳の量子場の波動が意識を形成しているとともに、意識の反作用により脳の量子場の波動に影響を及ぼし、この意識の反作用こそ意志の形成ではないだろうか。
量子力学的非決定性は、一見ランダムなように見える。しかし、私は、量子力学的非決定性は、もっと深い意味を持っているのではないかと思う。何ヶ月か前にNHKの番組で、量子乱数発生器を熱狂するサッカー場などへ持っていくと、通常とは異なる動作をするとのことである。すなわち、群集としての脳内の熱狂が脳外のサッカー場の量子場にさえも影響を及ぼしている可能性がある。
その真偽及び理論的解明は、今後の科学の発展に委ねられるが、私はこのような現象は充分にあり得るものと考えている。このような現象が確かに存在するならば、個人の脳の中において、意識が量子場に影響を与えることは、むしろ当然のこととなる。
この分野の研究が進んで、デカルト以来の難問である、心身二元論を打破する突破口となることを、私は大いに期待している。