◆決断が迫られるとき

人間は人生においても仕事においても、度々大きな決断をすることを迫られることがあります。決断が迫られているときには、いくつかの選択肢が与えられています。決断というのは、これらの選択肢の長所短所を比較し考えることによって、いずれかを選ぶということです。

いずれかの選択肢が明らかに優れている場合は、すでに答えが出ていますので、決断するまでのこともありません。決断が必要なときというのは、選択肢の優劣が複雑で微妙であるときです。このようなときに、選択肢をただ眺めていても決断に向かって前進することはできません。

◆決断の手順

このような選択肢の優劣が微妙な場合に、つぎのようなステップで、検討するのも一案です。これは仕事の意志決定にも使われるもので、必ずしも哲学的に導かれるものではありませんが、人生の問題においても適用できる場合もあるかも知れません。また、この手順を機械的に当てはめるのではなく、問題の複雑さの程度に応じて適宜簡素化したり、検討事項を追加するのもよいでしょう。

(1)それぞれの選択肢の長所と短所を列挙します。この作業はできれば複数の人間でした方が検討漏れを防ぐために好ましいと言うことができます。この際、どんなに些細と思われるものも一応あげておきます。これはそれ自体些細であっても、重要なものを思いつくきっかけになることがあるからです。次に、

(2)列挙された長所短所を整理して、評価項目を作成します。例えば、ひとつの選択肢の長所は、他の選択肢の短所いうことができます。これらを別々の項目として評価すると紛らわしくなるからです。そして、

(3)整理された評価項目の重要度に応じて、それぞれの項目の重み付けをします。例えば、最低を1として最重要な項目は5倍など、感覚的に定量化します。そして、

(4)それぞれの選択肢の各評価項目を評価して採点していきます。この際、可能な限り、5段階評価、10段階評価など数字で評価することが好ましいといえます。採点ができたら、

(5)採点結果に重み付けの数をかけて、各選択肢の総合得点を集計して比較します。

(6)総合得点の結果が妥当と判断できれば、最も高い得点の選択肢を選択する決断をします。

(7)結果の妥当性に問題があれば、全体のステップ(1)から(6)を見直します。

◆決断した後

選択肢を選択する決断をしたら、あとは実行に移すのみです。決断した後で迷いが生じることがあります。しかし、選択肢の優劣が微妙な場合は迷いが生ずることはわかりきったことです。決断した後で状況は何も変わっていないのに、また迷っていてはいつまでも前に進むことはできません。したがって、その迷いの理由がすでに検討した範囲内のものであれば無視することです。

しかし、決断の過程で重要な検討項目が抜けていたり、重大な状況の変化があったりした場合は違います。再検討をする時間がある場合は、直ちに再検討します。すでに動き始めてしまっている場合、再検討して、新しい選択肢を採用するメリットと、動き始めたものを変更するためのデメリットとを比較します。前者がはるかに大きい場合は、先の決断を撤回し、新しく決断したものに変更しますが、後者が大きい場合は変更しないで進めます。

◆引き返せなくなってから

あとは、多少の事態の変化があってもいちいち動揺することなく、最終的に選んだ選択肢の実現のためにベストを尽くすことです。取り返しがつかない段階で迷いや後悔が生じても、楽天的に考えることです。その理由は、その決断は、与えられた状況において、ベストを尽くした決断であったこと、選択肢の優劣が微妙であるのはその成果においても大きな差は生じない可能性が高いこと、そして、今更悔やんでも、過去の決断に関して為すすべがないことなどです。

決断の後も、最善を期待しつつ、最悪に備えることが大切です。もし重大な悪い結果を生じる可能性が出てきた場合は、その事態に備えて手を打つことを考えることがひつようになります。いずれにせよ、過ぎたことをうじうじしていても何も改善されません。未来に向かってできることを考えることが大切です。