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  人はなぜ死ななければならないのでしょう。人はなぜ歳をとって老いなければならないのでしょう。なぜ老いることなく永遠に生きていてはいけないのでしょう。

◆ 進化と世代交代

  人間が死ななければならない最大の理由は、人間は進化によって生まれてきたということがあります。人間も動物として、単細胞動物から進化して来たことに、異論を唱えるひとは少ないと思います。進化は世代交代を通じて行われてきたのです。世代交代とは、新世代の誕生と、旧世代の死滅です。すなわち、旧世代から新世代への交代を数え切れないくらい繰り返してきたからこそ、今の人間があるわけです。誕生と死の組み合わせである世代交代による進化がなかったら、人間はこの世に存在していないのです。したがって、死は人間にとって本質的に切り離すことのできないものです。

◆ 永遠の命は有意義な人生をもたらすか

  永遠の命が与えられたとして有意義な人生をおくることができるでしょうか。あわてなくても時間は永遠にあるのですから。そのうち気が向けばやればよいのです。外国の、日本人に人気のある観光地に永住している日本人がいました。住んでいるところに観光するものがたくさんあっていいですねと言うと、その人はその町に住み始めてから、その町の観光をしたことがないとのことです。いつでもできると思うといつまでもしないことになりがちです。

◆いつまでも若くいられればよいか

  みんな死なないのですから、子孫が生まれる必要もありません。永遠に生きるということですから、老いることもないでしょう。あどけない子供の成長の姿をみることもなければ、お年寄りをいたわる気持ちも必要なくなります。

  老いないということですと、女性はいつまでも若く美しくいたいと思うでしょうから、これほど素晴らしいことはないと思うかもしれません。しかし、いつまでも若くいられればそれでよいのでしょうか。若々しい美しさは、限りがあるからこそ美しいのではないでしょうか。生花はすぐに枯れて醜くなります。それでも、人々が、造花ではなく生花を好むのは、その限りある美しさこそ本物であると思うからではないでしょうか。

  また、植物とは違い、人間には年齢を重ねれば、若い美しさは衰えていきますが、成熟した年代には、若い年代にはない別の人生の美しさがあるのではないでしょうか。悔いのないように生きて、天寿を全うして死を迎えることができれば、人間にとってそれ以上の幸せはないと思います。