幾太郎の医学部受験指導簿⑤〜誰でも頑張れば医学部に行けるのか〜 | 中学入試と医学部入試の道の駅

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小さな子供が健気に全力で取り組む中学入試。将来を掴み取るために必死で闘う医学部入試。予備校で数学を教える私が全力で応援するブログです。

幾太郎が医学部受験指導を始めて18年が経過して、医学部に進学した教え子は116人になりました。

いろいろな生徒がいました。

読者の方にいろいろとご参考にしていただけるように、プライバシーの観点から若干フェイクもいれながら、特集していきたいと思います

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誰でも努力すれば医学部に入れるわけではない。



それは難しい戦いだった。高校三年生、中堅処の私立一貫校の生徒。お兄さんは同じ一貫校から国公立医学部に進学していた。

コツコツとやれる生徒であることは分かっていた。宿題を出せばやってきた。単元テストをやれば、ちゃんと勉強して結果を出した。しかし途中から私は異変に気が付いていた。

全く勉強が積み上がっていかない。ビックリするほど忘れてしまう。


普通の人であれば、忘れたと言っても復習すれば記憶の一端を引き出すことができて、理解度を上げながら拡充することができる。それが本格的な学習の形式といえるのだが。

その生徒は、全く忘れてしまうのだ。授業をして、宿題を課して、単元テストをやって、万全の体制をしいても、3ヶ月後には全く記憶が消えてしまう。

だから、3ヶ月後には全く同じ授業をするのだが、初めて聞いたように一生懸命に取り組んでくれるのだよね。本当にいい生徒だから、毎回、

「いい授業を受けて感動した〜」みたいな様子なんだけど。


学問は3歩進んで2歩戻る、みたいな形で進んでいくことはみんな同じなのだが、3歩進んで2.9歩戻るようなものだった。

亀の歩みの積み重ねが学問を究めていく本道だが、遅過ぎたらさすがに辿り着けない。


現役のときに私が担当していて、一浪・二浪のときには同じ予備校で頑張っていた。

私はその間に移籍してしまっていたが、入試会場で彼と予備校のスタッフとに会った。彼を入試会場に見送った後、私はスタッフに聞いた。

「彼は成績は上がってきましたか?」

その問いに、スタッフは苦笑するだけだった。

いくた