昨日、CS「ムービープラス」で、「グッバイ、レーニン! 」(2003年、ドイツ)を観ました。以前、2度もDVDを借りてみたので、今回で3度目です。


 発売中のDVDの紹介文(アマゾンより)は、こんな感じです。


LENIN テレビ修理店に勤めるアレックスの父は、10年前、家族を捨てて、西ドイツに亡命。以降、母クリスティアーネは、その反動からますます東ドイツへの愛国心を強めていく。そんなある日、反社会主義デモに参加し、警察と衝突しているアレックスを目撃したクリスティアーネはショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。その間にベルリンの壁が崩壊。しかし、数ヵ月後、クリスティアーネは奇跡的に覚醒するが、医師は、「今度強いショックを与えたら、命取りになる。」とアレックスに宣告する。アレックスは、母親にショックを与えないよう、東ドイツの崩壊を隠すために、ニュース番組を自主制作したり、東ドイツのピクルスを探したりと涙ぐましく奔走するが…。

 この映画、最初に興味を引かれるのは、末期の東ドイツの状況描写です。

 その新鮮さは、例えば「令嬢ターニャ」(1989年、ソ連・スウェーデン)でも見ることができましたが、国家が公定する社会主義イデオロギー(それを果たして、本来の「社会主義思想の系列」で語ることが妥当がどうかは別にして)がすっかり形骸化し、社会秩序の道具でしかなく、人々は表向きはそれに従っているようなふりをして、裏では個々人が豊かさを享受するために奔走しているのです。

 「グッバイ、レーニン!」が描く東ドイツは、すでに反政府デモが起こっている、崩壊直前の状況です。でも当然の事ながら彼らも同じ人間です。当然、「社会主義国」に住む人間がすべて「社会主義イデオローグ」であるかのような妄想は、ここにはありません。政治体制によって引き裂かれた家族の和解をめざし、主人公のアレックスは懸命に動き回ります。彼が動けば動くほど、観客は東西に分断されていた年数の長さを実感させられるのです。ただ、その「差」は、必ずしも人間として分かり合えない「差」ではない、ということも主人公自身が知っていくのです。

 これ以上はネタバレになるので書けませんが、最後はほろっと来るエンディングです。

 一見、刺激的なタイトルのようで、「人間(この映画ではドイツ人)の逞しさ」とか、「政治体制がどうなっても、家族は家族だ」というような、普遍的なテーマが描かれていることに気が付かされます。

 ちなみに、「レーニン」さんは、銅像でちょろっと「出演」します。