今日目に留まった文は,
(状況)
イランで人質にされたていたアメリカ人が解放されることになり,その犯人グループの監視下の元,記者会見を行った。その際,記者から,"Are you being treated badly?"という質問が飛び,それに対し人質の男性は,"Considering I am a hostage, I am being treated fairly."と答えた。
これに続く一文です。
・Of course this may not have been true, but it is believable to his listners in a way that 'I am being treated well' is probably not believable.
この文はどう意味を取ればいいのでしょうか。
話が飛びますが,接続詞のasには「様態」と呼ばれる用法があります。日本語にすると「ように」ですね。この日本語からも分かるように,このasは「似た内容の文」,多くの場合,「相似形の文」を並べます。そして,あまりに同じ部分は省略や代用表現が使われます。この「後ろに省略や代用表現が用いられる」という点が「様態のas」の特徴と言えます。例を挙げると,
I like her.
と
Jim likes her.
この二つの文が「同じようなこと」という場合,単にasでつなぐと,
→I like her <as Jim likes her>.(△)
となりますが,これではasの内側と外側で重複が目立ち,しつこく見えます。とはいえ,「同じ部分」をただ省略すると,
→I like her <as Jim>.(×)
となり,asが前置詞(~として)みたいです。これはさすがにやりすぎです。ですが,なるべく省略はしたい。そこで,"likes her"を代動詞のdoに変えてみたのが以下の文です。
→I like her <as Jim does>.(○)
これで,「<ジムのように/ジムが彼女を好きなように>,私も彼女が好きだ」といった意味になります。
もうひとつ。
Baseball is popular in Japan.
と
Baseball is popular in America.
この二つの文が「同じようなこと」という場合,やはりasでつなぐことになるのですが,「同じ部分」だから「省略」されるのはどこでしょう。もちろん「同じ部分」である,"baseball is popular"が省略され,できあがる文は,
→Baseball is popular in Japan as in America.:アメリカのように日本でも野球は人気だ。
です。
では,以下の文は①と②のどちらの意味で取るのが正しいでしょうか。
・I don't like her as Jim does.
①ジムのように,私も彼女のことが好きではない。(私もジムも彼女のことが嫌い)
②私は,ジムのようには,彼女のことが好きではない。(私もジムも彼女が好き)
目の付け所は,as以下が「肯定文」という点です。Jim doesということはこれは元々,"Jim likes her"という文だったということです。「ジムは彼女が好きだ」ということを反映した訳,つまり②が正解です。ただ,「ように」にこだわると,①なのか②なのか伝わりにくくなる可能性があります。そこで,こんな公式(?)を私は習いました。
・「様態」のasは,asの内側と外側とで肯定・否定が入れ替わると,「~とは違って・異なり/~に対して」という訳を当てるとわかりやすい。
"I don't like her as Jim does."のように,asの内側(Jim does)とasの外側(I don't like her)とで肯定/否定が逆転している場合は,asを「ように」ではなく「とは違って・異なり」と訳すとうまくいくことが多いようです。なので,"I don't like her as Jim does."は「ジムとは違って,私は彼女のことが好きではない」と訳をつけることができます。
この考え方は,同じく「ように」という意味のある,"like"や"the way SV"にも応用することができます(最初に挙げた文は,"in a way that SV"ですが,the way SVのバリエーションと考えていいと思います)。以下は「オックスフォード実例現代英語用法辞典」にある例文です。
・I don't smoke, like Megan.(私はミーガンと違って,タバコを吸いません)
・I am not a Conservative, like Joe.(私はジョーと違って,保守党支持者ではありません)
ただ,この本には気になる記述があります。以下一部抜粋です。
<抜粋開始>
否定文の後では,asまたはlikeを用いた比較は,肯定の部分を指すだけである。
(上の2つの例文)
しかし,否定文の前にある場合は,比較の意味は文全体に関わる。
Like Emily, I don't smoke.(私はエミリーと同様,たばこを吸いません)
Like James, I am not a Conservative.(ジェームズと同様、私は保守党支持者ではない)
<抜粋終了>
この記述を全面的に受け入れるとすると,この「~とは違って・異なり」のasやlikeは「主節が否定文の場合」にしか使わないみたいです。しかし,最初(やっと戻ってきました)に挙げた文は,「主節が肯定文」なのです。すっかり困ってしまいました。
・Of course this may not have been true, but it is believable to his listners in a way that 'I am being treated well' is probably not believable.
この文ははたして,
→もちろん,これは本当ではなかったのかもしれない。しかし,「私はいい扱いを受けています」がおそらくは信じてもらえないのとは違って,そのセリフは彼の話を聞いているものに信じることができるのだ。
という意味でいいのでしょうか,と答えのない日記になってしまいました。