『凍りのくじら』 辻村深月 | ふぁいのだらだらな日々

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藤子・F・不二雄先生にとって、SFとはサイエンス・フィクションではなく、「少し不思議な物語」のSF(すこし・ふしぎ)なのだそうだ。

高校2年生の芦沢理帆子は、自分の頭のよさを自覚し、それゆえに周りを見下し、表面上はどんな人の輪にも入って行けるけれど、心の中では自分はみんなとちがう、そこに自分の居場所はないと感じている。自分はSF(すこし・不在)。

 

理帆子が小学生の時、写真家の父・芦沢光が失踪。そして今、母も病でその生を終えようとしている。

そんなとき出会ったのが、別所あきらという1学年上の男子生徒だった。SF(すこし・フラット)な彼との不思議な時間。そして郁也くんとの出会い。

 

理帆子の繊細な心の動きと成長が描かれる、愛情あふれる物語。

 

何より若尾が壊れていく様子が怖かった。

理帆子の、高2とは思えない思考もある意味怖いけど。

 

“少し不思議”な物語。

と紹介文に書いてあったから、ファンタジー系なんだろうなと思いながら読んだので、展開自体は想定内だったけれど、エピローグのほんわか具合は想像以上だった。いやあ、みんないい方向にいっているようでよかったよかったという感じ。

 

なかなかのボリュームで読み応えがあった。

そしてドラえもん愛が満載だった。

 

それにしても、理帆子が『スロウハイツの神様』にも登場してたとは気づかなかったな。言われてみれば、だね知らんぷり

 

 

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