同居している87歳の祖父と無職の孫・健斗。
「つらか」
「死にたか」
顔を合わせるたびに言い続けている祖父の願いを叶えてやろうと
健斗は「苦痛や恐怖心のない穏やかな死に至らしめる方法」を計画する。
それは、過剰な介護で一気に弱らせること。
できるだけ動かさないことによって肉体を衰えさせ
できるだけ考えさせないことによって脳の働きを鈍化させる。
そのために、健斗は献身的に祖父の身の回りの世話をする。
そして、その場限りの親切心で手を貸す人とは目的が違うのだ、と自負している。
反対に20代の自分は、痛めつけるほど肉体を鍛え、勉強に励み
細胞の活性化に精を出している。
ひたすら、スクラップ・アンド・ビルド。
若い自分は、鍛練によってすべての能力を向上させることができ
よりよい人生を手に入れることができるのだ・・・
羽田圭介さんは以前何かのテレビ番組で見たことがあって
変わった人だな~という印象だったが、この小説もやっぱり変わっていた。
でも不思議な魅力があっておもしろかった。
たぶん、自分が同居人の立場だったらいらっとしてしまうだろうけれど
祖父の方言混じりの話し方がとてもかわいかった。
と、同時に私自身も親がそれなりの年齢になってきて
他人事とは言えない状況ではあるので色々考えてしまうことも多かった。
それにしても・・・芥川賞の選考基準って謎だなあ・・・