蔵の中で偶然、祖母の著書らしきものを見つけたことをきっかけに
祖母のことを知りたいという欲求に突き動かされる主人公・和歌。
家を飛び出してまで書くことに執着したのに、結婚後いっさい書かなくなった祖母。
師事したらしい男性作家とのいびつな関係。
調べるうちに和歌自身も「書くこと」に目覚めるようになる。
学生時代から売れっ子「アーティスト」として活躍していた恋人・仙太郎に対して
崇拝ともいえる愛情を持っている和歌。
価値基準はすべて仙太郎でありながら、ふたりは噛み合わず傷つけあうことしかできない。
時代はバブル期からその後20年にわたって
実際の時代背景を随所に織り込みながら描かれている。
祖母の真意をさぐる作業は、和歌の自分探しでもある。
和歌が行き着く答えは・・・
主人公自身の不安定さ、周囲との関係性の不安定さで
読みながら終始落ち着かない気分だった。
妄想と現実は相反しない、という和歌のテーマそのままに
いろんなことが煙に巻かれたかんじになっている。
角田さんの作品ってこういうかんじだったかな・・・?と思いながら読んだ。
どちらかと言えば現実主義の私には、共感できる部分は少なかったかな~