『火花』 又吉直樹 | ふぁいのだらだらな日々

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6月に図書館予約してから待つこと半年、
ようやく順番が回ってきた。

なんかもう表紙とか見飽きるくらいあちこちで見ているよね。
図書館で受け取るとき若干恥ずかしかったくらい。

それにしても『火花』に関しては
発行部数が~とか、経済効果が~とか、印税が~とか
そんな話題ばかりが先行していて
ほぼみんな読んでいるんじゃないか、と思わせるくらい有名なわりには
中身の評価についてあんまり聞こえてこないのが不思議・・・

前置きが長くなったけれど
まあそういうわけであまり期待せずに読んだ。



若手芸人・徳永は、偶然出会った先輩芸人・神谷に惚れ込んで師弟関係を結ぶ。

神谷が持つ突出した才能と恐ろしいまでの真っ直ぐさ。
徳永は神谷に対してひたすら憧れてやまず、畏れてやまない。
それはそのまま徳永の「芸」に対する情熱を表していると思う。

しかし才能があるからすなわち「売れる」とは限らず
「芸」という無形のものを生業にする恐怖が重苦しくのしかかってくる。

そして二人が選んだ道は・・・



まずこんな小説を現役ど真ん中の芸人さんが書いたことがすごい。
舞台裏をさらけ出しているようなものだからね。

太宰好きな又吉さんらしく、
純文学のかほり漂う固い言い回しと

そしてさすがピースの又吉さんらしく、
映像が目に浮かぶような軽妙な会話文。



この小説が「さすが芥川賞!」なのかどうかは
私には分からないけれど
又吉さんが次にどんな小説を書くのかはとても気になる。