元刑事・君原のもとへ小学6年生の孫・樹来(じゅらい)が定期的に訪れる。
じいじの現役時代の事件の話を聞くために。
樹来という名前の由来は、7月生まれだかららしい。
そんな命名をする嫁と君原の関係は微妙だが
事件の話に興味津々の孫がかわいくて仕方がない君原。
推理小説作家志望の樹来は
君原の話をひと通り聞いただけで
さらっと大人顔負けの名推理を披露してみせる。
昔の事件だから今さら証明の仕様もないが
おそらく樹来の推理が正しいのでは、と思わせるような
理路整然とした謎解き。
それによって真犯人が裁かれるわけでもない。
ドーナツを食べながら他愛もない雑談をしているようなスタンスだから
全体的にほのぼのとした空気が漂っていて
凄惨な殺人事件でさえもあまりショッキングな印象を与えない。
それでいて読み応えのあるミステリーになっているのがすごい。
深木章子さんの小説は読んだことがないから(たぶん・・・)
次は長編にチャレンジしてみよう。